ダイエットするならタンパク質を摂取することで食欲を抑えよう

健康

筋トレ効果を最大限に高めるために必要な栄養素「タンパク質」。タンパク質はダイエットにおいても筋肉を維持する面で非常に重要な役割を担います。しかし、ダイエットにおけるタンパク質摂取による恩恵は他にもあります。

それは、タンパク質の摂取は「食欲を抑える」というものです。

今回の記事では、タンパク質が食欲を抑えるエビデンスを紹介します。

ダイエットするならタンパク質を摂取することで食欲を抑えよう

「タンパク質」は食欲を低下させる

僕たちが太ってしまうのはなぜでしょうか。

答えはシンプルです。消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーが多いからです。つまり、「食べ過ぎている」ということになります。

そのため、太らないためには、食欲を減らすことが有効だと考えられます。もっと食べたいという食欲をコントロールすることで過食による肥満の改善に寄与するとされています。

ざっきー
理学療法士ざっきー

食欲は空腹感と満腹感で決定されます。食欲を低下させて過食を防ぐためには、空腹感を減らし、満腹感を高める必要があります。

近年、このような食欲をコントロールする食品をもとにしたダイエット方法や効果が多く議論されています。

そして、これまでに報告された、食欲の低下とダイエット効果についての研究内容をまとめて解析したメタアナリシスが報告されています。

※メタアナリシス:複数の研究結果を統合して導き出した、まとめの報告のこと

Hansenらは、これまでに報告された、食欲の低下とダイエット効果についての研究結果をまとめて解析を行いました1)

その結果、満腹感を高める食品や空腹感を減らす食品を8週間以上摂取した被験者は、通常の食品を摂取した被験者と比較して体重の減少(-3.60kg)が認められました。

また、満腹感や空腹感をコントロールする食品によるエネルギー摂取量の減少は、12週間の介入による体重減少を58%、8週間の介入による体重減少を23%説明することが示唆されています。

つまり、食欲を低下させる食品の摂取は、ダイエットを促進する可能性が考えられます。

そして、その食欲を低下させる食品に含まれている主要な栄養素は何かというと、それが「タンパク質」なのです。

「タンパク質」が食欲を低下させるエビデンス

Zanchiらの報告2)では、タンパク質が胃や腸にあるペプチドに作用し、インスリンの分泌を増加させることで、脳の食欲中枢の働きを低下させ、食欲を抑えるとされています。

そして、これらの報告をもとに、タンパク質を多く含む食品による食欲への影響が解析されました。

それがKohanmooらによるメタアナリシス3)になります。Kohanmooらは、これまでに報告された高タンパク質食品による食欲への影響(即時的な影響と長期的な影響)を調査した68つの研究結果を解析しました。
概要は以下になります。
【対象研究数】即時効果:49件、長期効果:19件
【被験者】即時効果:2,740名、長期効果:1,159名
※即時効果の定義:摂取後3時間の効果
※長期効果の定義:摂取後3日〜9ヶ月の効果
【高タンパク食品】ホエイプロテイン、牛乳、ヨーグルト、大豆、牛肉、鶏肉、卵など

その結果、即時効果では、高タンパク質食品を摂取すると空腹感や食べたい欲求、食品消費行動の減少、満腹感の増加が認められました。一方、長期効果ではこれらの有意な効果は認められませんでした。

また、サブグループの解析では、満腹感といった食欲の低下はタンパク質の摂取量が35g未満でも認め、35g以上では食欲を調整する胃や腸のペプチドの分泌量の変化が認められました

これらの結果から、高タンパク質食品の摂取は、即時的に空腹感を減らし、満腹感を高めることで食欲を抑える効果があると考えられます。

しかし、Kohanmooらは多くの食品を対象とされており、長期効果が曖昧であったとして、食品ごとの解析が必要であると述べています。

このメタアナリシスでは高タンパク食品全体としての食欲を抑える効果を示しました。一方で、各食品の特異性(効果の違い)を明らかにすることは課題として残りましたが、現在ではそうした各食品それぞれの影響が研究されています。

疑問さん
食欲を抑えたい人

では、そのような高タンパク食品が食欲を抑えてくれるのでしょうか。

ざっきー
理学療法士ざっきー

次の章で解説していきますよ!

食欲を抑える高タンパク質食品とは何か

実際に食欲を抑える高タンパク質食品とは何なのでしょうか。今回は研究でも取り上げられることが多い、代表的な食品を紹介します。

ホエイプロテイン

まず一つ目は「ホエイプロテイン」になります。

Mollahosseiniらによるメタアナリシス4)を紹介します。

Mollahosseiniらは、ホエイプロテインの摂取による食欲を抑える効果を検証した研究報告を解析しました。

8つの研究報告を元に、ホエイプロテインの摂取前後による空腹感、満腹感、食事の欲求、食品の消費行動の平均値と標準偏差を抽出し、食欲スコアとして長期効果と即時効果が解析されました。

その結果、ホエイプロテインを長期的(3ヶ月以上)に摂取し続けることにより、有意に食欲スコアが低下し、食欲を抑えることが示されました。一方、短期的(1週間程度)では有意な効果は示されませんでした。

また、サブグループの解析では、上記のような効果は食事の45分前までにホエイプロテインを摂取することで有効になることが示されています。なお、1日の摂取量は50g〜60gとなっています。

つまり、ホエイプロテインを継続的に摂取することにより、食欲を抑えられるということです。

続いて2つ目の食品です。

2つ目の食品は「卵」になります。

実は「卵」の摂取によっても、食欲が低下するという報告があります。

疑問さん
食欲を抑えたい人

卵にもそんな効果があるのですか!?

卵はタンパク質が豊富に含まれています。そして、摂取すると空腹感を減らし、満腹感を高めることで、1日の食事の摂取量を減らすのに役立つとされています。

Fallaizeらは、朝食の種類による、満腹感、空腹感、およびその後のエネルギー摂取量に対する影響を調べました。5)

内容は以下の通りです。
被験者:健康な男性(年齢 21.7 ± 1.2 歳、BMI 23.1 ± 2.7 kg/m²)
内容:朝食により3つのグループに無作為に分けられ、満腹感、空腹感、満腹感、及び食べたい欲求について評価し、エネルギー摂取量については、自由に昼食と夕食を摂り、体重を測定することで評価しました。
①卵を乗せたトースト
②トーストとシリアル(牛乳入りのコーンフレーク)
③クロワッサンとオレンジジュース

その結果、①卵を乗せたトーストを食べると、②トーストとシリアルと③クロワッサンとオレンジジュースを摂取するよりも、空腹感が減り、満腹感が高まり、その後の昼食のエネルギー摂取量が低下し、夕食の食べる欲求が低下することが示されています。

また、Ratliffらの報告6)では、朝食で卵を摂取すると、血液中のグルコースとインスリン濃度の変動が少なくなり、グレリン反応が抑制され、1日のエネルギー摂取量が減少することを示唆しています。

さらに、Jenniferらの報告では、朝食で卵をのせたトーストを食べると、シリアルとオレンジジュースを摂取するよりも食後の空腹感が減り、満腹感が増え、昼食のエネルギー摂取量が減少することが示されています。

このように、高タンパク質な食べ物である「卵」を摂取することにより、空腹感が減り、満腹感が高まることで1日のエネルギー摂取量を減らせる可能性が示唆されています。

疑問さん
食欲を抑えたい人

卵にそんな効果があったなんて。。明日から朝に卵を食べてみようかな。。

まとめ

食欲を我慢することはストレスになります。そして、こうしたストレスがダイエットを妨げる要因の一つになります。

現代の科学では、食欲を我慢するのではなく、食欲を抑える栄養素であるタンパク質を多く摂取することによるダイエットの可能性を示しています。

食事やプロテインでしっかりとタンパク質を摂取することは、エネルギー制限ダイエットによる筋肉量の減少を防ぐだけでなく、食べたいという食欲を抑え、ダイエット効果も高めてくれる可能性があります。

タンパク質LOVE!!!!!

◆「タンパク質」は食欲を低下させる
◆「タンパク質」が胃や腸にあるペプチドに作用し、インスリンの分泌を増加させることで、脳の食欲中枢の働きを低下させ、食欲を抑える
その効果は即時効果、長期効果ともに認められる
「タンパク質」に関連する記事も以下にまとめているので気になる方はぜひ。

併せて読みたいタンパク質のあれこれ

糖質制限や低炭水化物ダイエットのようにカロリーを制限するダイエットは体重の減少効果が高いダイエット方法とされている一方で、脂肪とともに”筋肉”も減少させてしまいます。以下の記事ではそのメカニズムを紹介しています。

そのため、ダイエットでは筋肉を減らさない方法を選択することが重要であり、そこで注目されている栄養素が”タンパク質”です。

タンパク質の摂取量を増やすと筋肉のもととなる筋タンパク質の合成量が高まるとされており、これにより筋肉量の減少を減らせることがわかっています。以下の記事で解説しています。

併せて、筋トレ効果を最大限に高めるタンパク質の摂取量とタイミングについても以下の記事で解説していますので是非一読ください。

参考文献

1)Hansen TT, Andersen SV, Astrup A, Blundell J, Sjödin A. Is reducing appetite beneficial for body weight management in the context of overweight and obesity? A systematic review and meta-analysis from clinical trials assessing body weight management after exposure to satiety enhancing and/or hunger reducing products. Obes Rev. 2019 Jul;20(7):983-997. doi: 10.1111/obr.12854. Epub 2019 Apr 3. PMID: 30945414.

2)Zanchi D, Depoorter A, Egloff L, Haller S, Mählmann L, Lang UE, Drewe J, Beglinger C, Schmidt A, Borgwardt S. The impact of gut hormones on the neural circuit of appetite and satiety: A systematic review. Neurosci Biobehav Rev. 2017 Sep;80:457-475. doi: 10.1016/j.neubiorev.2017.06.013. Epub 2017 Jun 29. PMID: 28669754.

3)Kohanmoo A, Faghih S, Akhlaghi M. Effect of short- and long-term protein consumption on appetite and appetite-regulating gastrointestinal hormones, a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Physiol Behav. 2020 Nov 1;226:113123. doi: 10.1016/j.physbeh.2020.113123. Epub 2020 Aug 5. PMID: 32768415.

4)Mollahosseini M, Shab-Bidar S, Rahimi MH, Djafarian K. Effect of whey protein supplementation on long and short term appetite: A meta-analysis of randomized controlled trials. Clin Nutr ESPEN. 2017 Aug;20:34-40. doi: 10.1016/j.clnesp.2017.04.002. Epub 2017 May 8. PMID: 29072167.

5)Fallaize R, Wilson L, Gray J, Morgan LM, Griffin BA. Variation in the effects of three different breakfast meals on subjective satiety and subsequent intake of energy at lunch and evening meal. Eur J Nutr. 2013 Jun;52(4):1353-9. doi: 10.1007/s00394-012-0444-z. Epub 2012 Sep 5. PMID: 22948783.

6)Ratliff J, Leite JO, de Ogburn R, Puglisi MJ, VanHeest J, Fernandez ML. Consuming eggs for breakfast influences plasma glucose and ghrelin, while reducing energy intake during the next 24 hours in adult men. Nutr Res. 2010 Feb;30(2):96-103. doi: 10.1016/j.nutres.2010.01.002. PMID: 20226994.

7)B Keogh J, M Clifton P. Energy Intake and Satiety Responses of Eggs for Breakfast in Overweight and Obese Adults-A Crossover Study. Int J Environ Res Public Health. 2020 Aug 3;17(15):5583. doi: 10.3390/ijerph17155583. PMID: 32756313; PMCID: PMC7432073.

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