「インクライン○○って?」
「デクライン○○って?」
筋トレを始めた人、興味がある人はこんな疑問を抱いたことはありませんか。
トレーニング用語って難しいですよね。
今回は、ベンチプレスやプッシュアップなどでよく耳にする”インクライン”、”デクライン”について解説していきます。
効果的な筋肥大やパフォーマンス向上に欠かせない内容なのでこの記事を通して理解を深めてください。
・インクライン、デクラインとは
・インクライン、デクラインによる筋刺激の変化と目的
”インクライン”、”デクライン”を理解する
インクライン、デクラインとは?
インクライン(Incline)、デクライン(Decline)とは英語で傾斜をつけるという意味合いになります。
ウェイトトレーニングにおいては角度をつけてトレーニングすることを指しています。
主にベンチプレスのときに用いられる手法ですが、二頭筋や三頭筋、体幹周辺を鍛える際にも活用されます。
角度をつけてトレーニングを行うことで、通常のトレーニングとは違う刺激を得られ、全体的な筋肥大・筋力向上を狙うことができます。
インクライン、デクラインの識別
インクラインとデクラインの区別は横になった状態をフラット(flat)として、腰の位置に対して頭の位置が高ければインクライン(incline)、頭の位置が低ければデクライン(decline)と区別します。
インクライン例
椅子に座る姿勢のまま背もたれを倒すように姿勢を作れるのでフォームを安定させやすいです。
デクライン例
背もたれが下向きになってすべり落ちる方向で姿勢をキープしなければならないので、フォームを安定させづらくトレーニング時は注意が必要です。
インクライン、デクラインの刺激の違い
当然、トレーニング時に角度を変化させることで筋肉への刺激も変化します。
ベンチプレスを例に説明していきます。
ベンチプレスは主に大胸筋を鍛えるトレーニング種目ですが、大胸筋は胸骨の中央から肩の付け根にかけて付いている筋肉で非常に幅が広くなっています。
胸部の最も広く大きい筋肉。腕を横から前に動かす肩関節の水平内転に関与しており、上部、中部、下部と別れている。動作の方向によって使われる筋肉のメインとなる部分が異なる。
上部:腕を斜め上に押し出す
下部:腕を斜め下に押し出す
上部、中部、下部に別れ、それぞれが異なった役割を担っているのは、肩の可動域に対応するためです。
筋の構成、役割が一つならば一方向のトレーニングで十分効くのですが、各方向によって活動する筋部分が異なるということは一方向だけのトレーニングでは不十分だということです。
そこで必要なのが、インクラインやデクラインによって動作範囲を変化させることです。
大胸筋の刺激が強調される部位は腕の角度で決まります。
角度変えてトレーニングをすることで各役割の筋に刺激を入れることができ、大胸筋全体に刺激を与えることができます。
パフォーマンス向上のためにも、大胸筋は腕の方向に関係なく力を発揮するべきなので全体的に鍛えることが重要です。

ベンチプレスを行う場合には、インクラインやデクラインも併せて行う方がいいというわけですね。
フォーム
インクライン、デクラインベンチプレスでも基本的なフォームはフラットベンチプレスと同様です。
身体の角度変化により、相対的に腕の角度が変化していますが肩の固定位置や背中のアーチといった基礎部分は同じ形で行います。

ボディメイクで筋肥大を優先する場合でも、スポーツのパフォーマンス向上のため筋力向上を優先する場合でもインクライン・デクラインの考えを活用してバランスよく鍛えたいところですね。下記の記事でベンチプレスの基礎を紹介しているので併せて目を通してみてください。
特定の筋肉を鍛える方法はひとつしかないのか?
大胸筋の各部位を鍛えるにはインクライン/フラット/デクラインベンチプレスしかないのでしょうか?
もちろんそんなことはなく、実際には鍛え方は色々あります。
大胸筋の下部でいえばディップスといって腕だけで身体を上下に操作するトレーニング方法もあります。
トレーニング内容は動画の方が分かりやすいです。
参考までに。
筋トレの手法は一つではない
上記の例で言うと、ディップス。
デクラインベンチプレスと比べると動きが違うように見えますがこれも大胸筋下部をガッチリ刺激してくれる優秀なトレーニングです。
もちろん厳密にはデクラインベンチプレスとは刺激される部位が違いますが、ボディビルダーのように厳密に部位分けするトレーニングをするわけでなければ十分効果的です。
トレーニングの方法は必ずしも一つではありません。
様々な方向から目的とする筋肉にアプローチすることが可能なので、幅広い視野と柔軟な思考が大切です。
インクライン、デクライントレーニングが有効な部位
ここまで大胸筋を例に解説を進めてきましたが、大胸筋以外にももちろんインクライン・デクラインで角度をつけたトレーニングが有効な部位があります。
大胸筋を含めインクライン・デクライントレーニングが有効な部位は多く存在しています。
・大胸筋(胸)
・三角筋(肩)
・広背筋(背中)
・僧帽筋(肩~背中)
・上腕(二頭/三頭)筋(腕)
それぞれの筋肉がどの身体の部位にあたるかという点も()で記載しています。
見てもらうと分かりますが上半身の部位に集中していますね。

骨盤(股関節)から上の筋肉はそれぐらい様々な動きに対して対応する必要があるということです。部位によって内旋や外旋の動きも加わってトレーニング方法が複雑になるのでそれぞれのトレーニング方法については別途解説したいと思います。
まとめ
◆角度をつける目的:flatトレーニングとは異なる刺激を与えることで、筋肉群全体の筋肥大や筋力向上を狙う
トレーニング方法として”インクライン”、”デクライン”が存在することと角度をつける必要性について認識いただければ十分です。
トレーニングの幅を広げるとともに、狙った筋肉群を効果的に鍛えるために必要な知識になります。
実際のトレーニングにおいては、種目によって活発に活動する筋群に差がありますので注意が必要です。
あと、具体的な角度やトレーニングの方法については個人差があるので調整が必要なことにも注意してくださいね。

次回はベンチプレスを例に挙げて、インクライン、デクライン、フラットによる実際の筋活動の違いを考察していきます。
実は
大胸筋上部→インクライン
大胸筋中部→フラット
大胸筋下部→デクライン
というベンチプレスの方程式を覆す研究が数多く報告されています。
お楽しみに。
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