【ダイエット】筋肉を落とさずに痩せるにはタンパク質摂取量を増やそう

健康

皆さん、筋トレしてますか?ダイエットしてますか?

健康や外見的な魅力を高めるためのダイエット。
そこには大きな落とし穴があります。

それは、脂肪だけでなく「筋肉も減少する」ということです。

ボディメイクに勤しむ方は増量・筋トレをして、ひとまわり大きくなった身体から絞ることで魅力的な細マッチョに近づくことができます。絞りと同時に時間をかけて鍛え上げた筋肉を減少させてしまうことは非常に悲しい事態です。

ただシンプルに痩せたい方も、健康的な外見や若々しさという観点から脂肪だけでなく筋肉まで落ちてしまうのは避けたいですよね。

そして、筋肉の重要性は言わずもがなです。
筋肉が多いほど病気による死亡率が低下し、手術後の死亡率も筋肉の量によって影響を受けるとされています。1)

では、筋肉を落とさずに脂肪を落とす理想的なダイエットをするためには何を意識すればよいのでしょうか。

答えは非常にシンプルです。

「タンパク質摂取量を増やしましょう」

タンパク質の摂取量を増やすと筋肉を減らさずにダイエット効果を高めることが示唆されています。この記事では最新のエビデンスをみていきながら、その理由を考察していきます。

【ダイエット】筋肉を落とさずに痩せるにはタンパク質摂取量を増やそう

タンパク質の摂取を増やすと筋肉が減少しない理由

Wycherleyらによるメタアナリシス2)をみてみましょう。

Wycherleyらは、等カロリーのエネルギー制限ダイエットにおいて、高タンパク質食と標準タンパク質食による影響を比較したメタアナリシスを行いました。

解析の対象となったのは18歳以上の男女1063名の被験者を含む、24のランダム化比較試験です。
概要は以下の通りです。

エネルギー制限食の摂取カロリー:1575±270kcal
ダイエット期間:12.1±9.3週間(範囲:4〜52週間)
タンパク質摂取量:高タンパク質食グループが体重1kgあたり1.25g/日、標準タンパク質食グループが0.72g/日
結果:高タンパク質食は、標準タンパク質食と比べて、体重の減少(-0.79 kg)、脂肪量の減少( -0.87kg)、トリグリセリドの減少(-0.23 mmol/L)が認められた。さらに除脂肪量の増加(+0.43 kg)、安静時エネルギー代謝(REE)の増加(+142kcal/d)が認められた。

この結果からWycherleyらは「タンパク質の摂取量を増やすことはエネルギー制限ダイエットでは体重や脂肪量を減少させるだけでなく、脂肪のもとであるトリグリセリドも減少させ、さらに安静時エネルギー代謝も増やすことからダイエット効果を高める」ということを示唆しています。

つまり、エネルギー制限ダイエットの際にタンパク質の摂取量を増やすことは、筋肉を減らさずにダイエット効果をさらに高めることができる、ということです。

疑問さん
疑問さん

筋肉を減らさずにダイエット効果を高める最適な「タンパク質の摂取量」はどのくらいでしょうか?

ダイエットで筋肉を減らさないための「タンパク質の摂取量」

前述したWycherleyらのメタアナリシスでは、標準タンパク質の摂取量が1日、体重1kgあたり「0.72g」でした。

しかし、米国医学研究所が提唱している推奨栄養所要量は「0.8g」であり、この値は病気にならない健康を維持するための最小の摂取量とされています。

疑問さん
疑問さん

標準タンパク質摂取量の考慮が足りないということですね。

ざっきー
理学療法士ざっきー

その通りです。Wycherleyらのメタアナリシスで比較対象となった標準タンパク質の摂取量「0.72g」は推奨栄養所要量を下回る摂取量であり、高タンパク質食と比較すると、その効果が大きくなってしまう可能性があります。ですがこの内容に関する、別のメタアナリシスがありますので紹介しますね。

ここで参考になるのがHudsonらのメタアナリシス3)です。

Hudsonらはエネルギー制限ダイエットにおいて、RDAのタンパク質摂取量(標準タンパク質食)と高タンパク質食による影響についてのメタアナリシスを行いました。

解析対象は健常者(19歳以上)被験者を含む、18のランダム化比較試験です。概要は以下の通りです。

期間:6週間以上
タンパク質摂取量:推奨栄養所要量と同等の標準タンパク質の摂取量(0.8g/kg/d)と高タンパク質の摂取量(1.3g/kg/d)
上記の条件で、エネルギー制限ダイエット後の除脂肪量(≒筋肉量)の変化について解析を行う
結果:エネルギー制限ダイエット中の高タンパク質の摂取は、筋肉量を増やす効果が示された。一方、エネルギー制限をしていない場合には、筋肉量の変化は認められないことが示された。

これらの結果からHudsonらは「エネルギー制限ダイエットを行う場合は、RDAのような標準的なタンパク質の摂取量「0.8g/kg/d」よりも高いタンパク質を摂取することが筋肉を減らさずにダイエット効果を向上させることに寄与する」としています。

また、筋肉を減らさないためのタンパク質の摂取量を「1.3g/kg/日」としています。

これは体重70kgの場合、1日あたりのタンパク質の摂取量を「91g」、1食あたり「30g程度」の摂取量に相当します。

以上より、エネルギー制限を行うダイエットにおいて「タンパク質の摂取量を増やすこと」が筋肉を減らさずにダイエットするために重要なポイントになることが考えられています。

まとめ

健康的に、そして身体の魅力を高めるためにダイエットする場合、糖質や炭水化物を制限するエネルギー制限ダイエットにプラスして十分なタンパク質の摂取量を意識して摂取することが重要です。

その際のタンパク質の摂取量は、1日に体重1kgあたり「1.3g」を参考にしてみましょう。

そして、タンパク質については筋トレをしている人であれば多くの疑問が生じるトピックでもあります。

タンパク質の過剰摂取は?
タンパク質摂取のタイミングは?
筋トレに最適な摂取量は?
など、タンパク質については様々な観点で記事にしているので参考にどうぞ。

参考文献

1)Antoniou GA, et al. Effect of Low Skeletal Muscle Mass on Post-operative Survival of Patients With Abdominal Aortic Aneurysm: A Prognostic Factor Review and Meta-Analysis of Time-to-Event Data. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2019 Aug;58(2):190-198.

2)Wycherley TP, Moran LJ, Clifton PM, Noakes M, Brinkworth GD. Effects of energy-restricted high-protein, low-fat compared with standard-protein, low-fat diets: a meta-analysis of randomized controlled trials. Am J Clin Nutr. 2012 Dec;96(6):1281-98. doi: 10.3945/ajcn.112.044321. Epub 2012 Oct 24. PMID: 23097268.

3)Hudson JL, Wang Y, Bergia Iii RE, Campbell WW. Protein Intake Greater than the RDA Differentially Influences Whole-Body Lean Mass Responses to Purposeful Catabolic and Anabolic Stressors: A Systematic Review and Meta-analysis. Adv Nutr. 2020 May 1;11(3):548-558. doi: 10.1093/advances/nmz106. PMID: 31794597; PMCID: PMC7231581.

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