筋肥大を効率よく狙うためには
どうすればよいのでしょうか。
この問いに対して、
数多くの研究から現代の最適解は下記の通りになっています。
”トレーニング時の総負荷量を高めること”
この”総負荷量”を高めるために
トレーニング強度やセット数、休息時間が重要であることは
別の記事でも解説してきました。




筋肥大の効果的な狙い方に関してはかなり知識がついてきました。
まだ意識する点があるのですか。

そうですね。基本となる部分は幅広く解説してきましたが、意識しておくべき点はまだまだ存在します。
今回は、休息時間についての補足事項を解説していこうと思います。
休息時間の過ごし方
最適な休息時間について
最適な休息時間はトレーニング経験の有無や強度、
性別などの特異性を考慮する必要があります。
特にトレーニング経験が少ない人は、
トレーニング強度が低くなることが多く
この場合のセット間休憩時間は
「1〜2分間」の短時間がパフォーマンスを高めることが示唆されています。1)2)
一方、トレーニング経験者で
高強度トレーニングを行う場合は、
セット間の休憩時間を「2分間以上」と長時間設定により
パフォーマンスを高め、総負荷量の増大を図ります。1)2)
結果、筋肥大効果を最大にすることが可能となります。
休息時間のタブー事項
トレーニングの休憩間隔は、
通常セットとトレーニング間の回復に費やされる時間として考えられます。
そして文献の大部分は特定のトレーニングの適応を引き出すための最適な休息間隔の期間に焦点を当てています。
この期間を最適化するための特定の方法に関するエビデンスが不足しているという視点から、セット間の休息時間の過ごし方とパフォーマンスへの影響を検証したのがLatellaらです。
主動作筋への静的ストレッチ
Latellaらの報告3)によると、
セット間の休息時間に静的ストレッチ(スタティックストレッチ)を行うと、パフォーマンスの低下を招く可能性が示唆されています。
特に、トレーニングでターゲットとする主動作筋に対して
静的ストレッチを行うことがタブー。
また、García-López Dらの報告4)によると、
ベンチプレスによる検証で
1セット目と2セット目の間に主動作筋である大胸筋や上腕三頭筋に対するストレッチを1分間程度行うと、2セット目動作時の運動スペードが低下することが示されています。
静的ストレッチが運動パフォーマンスを低下させることは
以前から報告されており、
動作前のウォーミングアップで静的ストレッチを行うと、
トレーニングのパフォーマンスを低下させる5)ことが示されています。(別記事で改めて紹介しますね)
運動単位の活動抑制、筋の粘弾性低下、筋血流量低下が要因として考えられている5)
フォームローラーによる主動作筋へのマッサージ
加えて、Latellaらの報告3)では
フォームローラー(マッサージローラー)による主動作筋へのマッサージも動作パフォーマンスを低下させる可能性を示唆しています。
↓↓こんなもの↓↓
Monteiro ERらの報告6)によると、
レッグエクステンションのセット間に主動作筋に対して
マッサージやフォームローラーを使用することは
運動回数の低下を認めたようです。

ゴリゴリ気持ちいいので
結構フォームローラーを使っていました。
筋肉がほぐれるものとばかり思っていました…。

あくまでもセット間の休息時に行うことがタブーなので、この点を抑えておいてくださいね。
トレーニングのセット間の休息において、
主に主動作筋に対して、マッサージやフォームローラーの使用が
タブーであることがわかりました。
では、逆に何を行えばよいのでしょうか。
休息時間のススメ
前段では静的ストレッチはタブーであると述べました。
しかしながら、”やってもいい”静的ストレッチが存在します。
拮抗筋に対するストレッチ
それは、拮抗筋に対する静的ストレッチです。
中島らによる報告7)では
拮抗筋の柔軟性増加は、主動作筋による速い運動での関節トルクを増加させる可能性を示唆しています。
Mirandaら8)の報告によると、
広背筋のトレーニングであるシーテッドロウのセット間の休憩時間に、拮抗筋である大胸筋を静的ストレッチした結果、運動回数の増加とともに、主動作筋である広背筋の筋活動も増加したとされています。

拮抗筋の筋活動を抑制することによる固有受容体(ゴルジ腱器官及び筋紡錘体)の急性感受性の変化などがその要因とされています。休息時間にストレッチを行うのであれば、拮抗筋に対して行うのがいいですね。
クーリング
Latellaらの報告3)では
末梢部のクーリングを行うことによって次のセットのパフォーマンスを高められる可能性があることを示唆しています。
ベンチプレスのセット間の休憩時間に
手のひらを冷却するパームクーリングの効果を検証した
Kwon YSら9)によると、
局所的な手のひら冷却によって上腕三頭筋の筋活動が高まり、ベンチプレスの総負荷量が増加することが報告されています。
クーリングが一時的に疲労メカニズムを無効にするとも述べています。
手のひらという末梢部のクーリング効果は筋肉の冷却効果、中枢性疲労、主観的な疲労の軽減によるものだと考えられています。
有酸素運動
休息時間に有酸素運動を取り入れた研究もあります。
(エルゴメーター等)
Lopesらは
ベンチプレスのセット間に有酸素運動を行うことで、
何もしない場合と比較して血中乳酸除去を促進し、
回復後の筋力パフォーマンスが改善されたことを報告10)しています。

トレーニングの休息中に有酸素運動を取り入れるのは中々難しいですが、有効な手段の一つです。
まとめ
◆静的ストレッチやフォームローラーによる主動作筋へのアプローチはタブー
◆受動的休息ではなく、能動的休息が効果的
拮抗筋のストレッチや末梢部のクーリングを行い、次のセットのパフォーマンスを高めよう
トレーニングの最適化を図り、
筋肥大を効果的に狙うためにも
休憩時間を戦略的に活用していく必要がありますね。
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