「私は筋トレするとすぐに筋肉がつくタイプ」
「食べても太らない体質」
よくこんな話を聞きませんか?
周囲の人をみても、太りやすかったり、痩せやすかったりと人によって体質は様々です。
では、自分の体質がどのような体質でどのような方法でダイエットや筋トレに取り組むのが最適なのか把握している人はどれくらいいるでしょうか。
トレーニング方法や理論はネットでも探してもたくさん出てきますし、ある程度エビデンスもあり一般的には再現性も高いです。
しかしながら、目的と方法は合っているのにそのままトレースをしてトレーニングを行っても効果が芳しくない場合があります。
その原因は自分の体質や特性に応じてメニュー調整や、プログラム以外の部分で自分の体質に合わせた行動ができていない場合が多いです。
自分の体質に合わせた方法でダイエットや筋トレに取り組める人はあまり多くいない印象です。知る機会がないから、ということもありますね。
今回は、自分の身体のタイプを示す「ソマトタイプ」の解説とそれに合わせたダイエットや筋トレ方法について解説していきます。
・ソマトタイプとは
・ソマトタイプ別のトレーニング/ダイエットの方法・考え方
【あなたの体型は何型?】ソマトタイプを知って、自分に最適なトレーニングを考えよう
ソマトタイプとは
ソマトタイプとは人の体型を3つの系統に分類したものを指します。
これは1940年代にWilliam H. Sheldonによって導入された体型の概念になります。
ソマトタイプは人の臓器が胚葉から発生するという研究結果を基に分類されています。
胚葉というのは受精卵から細胞分裂が始まる初期にできる大きな部位のことで内・中・外の3つがあります。
そして、どの胚葉の特徴が大きく出るかによって体型が決まってきます。
そのため、ソマトタイプは先天的(受精卵の頃)に決まっています。
精神医学や心理学などと関連づけることで、ソマトタイプで分類された体型ごとに性格や思考の傾向があることも分かってきています。
ソマトタイプの分類
ソマトタイプは内胚葉、中胚葉、外胚葉の特徴によって3つに分類されています。
ですが、3つの胚葉は全ての人に発生するので、どれか1つの分類に完全に一致するわけではありません。
あくまでもどの胚葉の特徴が強く出ているかによってその人の体質がみえてくる、というものです。
内胚葉型(Endomorphy)
外見特徴
みぞおちから下腹部にかけて大きく、胴体が太い。
手首や足首など末端部分は細い。
体質特徴
基礎代謝が低く、活動代謝も低い。
そのため、体内にエネルギーを蓄えやすい傾向。
消化吸収能力に優れているためエネルギーを効率よく摂取できるため、体脂肪がつきやすい体質。
エネルギーを蓄えるように身体が働きやすいため、運動などですぐにエネルギーを使用したい場合に効率よく利用することができない。
中胚葉型(Mesomorphy)
外見特徴
骨太なため肩幅が大きく全体的にがっしりとしている体型。
特に四肢(腕、手、脚、足)は太めの筋肉で構成されている。
体質特徴
タンパク質合成を行う能力が高い。
摂取したタンパク質や脂質から得られた栄養素を効率よく筋肉などで活用できるため筋肉がつきやすい。
運動時に効率よくエネルギーを活用する能力が高く、活動代謝は高い。
基礎代謝自体はそこまで高くなく、運動していないと思いのほか体脂肪がついてしまう。
運動すると、割とすぐ体脂肪を落とすことができる。
外胚葉型(Ectomorphy)
外見特徴
脂肪や筋肉の総量が少なく、細身の体型。
筋肉的にも細いだけでなく骨格的にも細く、起伏のない見た目。
体質特徴
基礎代謝・活動代謝ともに高く、摂取したエネルギーを効率的に消費する。
体内でのたんぱく質合成が苦手で筋肉が発達しにくい。
脂肪、筋肉共に少ないため身体にエネルギーを蓄えることが苦手。
ソマトタイプの計測方法
ソマトタイプは身体から得られる情報を使ってそれぞれの胚葉型の傾向を導き出します。(身長・体重、皮膚厚など)
詳細な方法もありますが、ここでは参考程度に…計算式だけ。

複雑すぎます…。
もっと簡単に分かる方法はないんですか?

そうですよね。測定が必要な項目もあり、いちいちこんな計算をするのは面倒です。
一応、簡単な指標として判断する方法がありますので紹介しますね。
利き手の親指と中指で反対側の手首を掴む。
【結果】
・親指と中指が楽に重なる→外胚葉型
・親指と中指がくっつく→中胚葉型
・親指と中指が離れる→内胚葉型
といっても自身の身体を鏡で見ると分かるかと思います。
計算で各値を算出するメリットはより詳細な情報が得られるからです。
どれか1つの胚葉型の特徴が強く出ている場合もありますし、2つの特徴が強く出ている場合もあります。
そのため、見た目はがっちりマッチョのような体型でも実はお腹が大きくなりやすい体質を兼ね備えていることもあります。興味があれば調べてみてください。
【参考】9つの質問に答えるだけで傾向が分かる
以下のサイトでは9つの質問に答えるだけでおおよその傾向を把握することができます。

僕は以下のような結果でした。
中胚葉型の特徴が強く出ていますが、外胚葉型、内胚葉型の要素も兼ね備えていることが分かります。
面白いのでぜひやってみてください。
タイプ別のトレーニング/ダイエット
では、タイプ別のトレーニング方法、ダイエット方法について考察していきます。
トレーニング
内胚葉型(Endomorphy)
内胚葉型の特徴が強い方は基礎代謝が低く、消費カロリーが少ない傾向にあります。
なので、オーバーカロリーな状態にするのは容易な体質です。
消化吸収能力も高く、タンパク質合成も得意なので、適切なトレーニングを行い、食事管理を徹底すれば筋肥大が可能です。
必要以上のカロリーを摂取してしまうと、簡単に体脂肪が増えてしまうので摂取量のコントロールがポイントになります。
内胚葉型の人は「食事管理」が肝ですね。
中胚葉型(Mesomorphy)
中胚葉型の特徴が強い方はタンパク質合成の力が優れており、摂取したタンパク質や糖質は効率よく筋肥大に活用されます。
内胚葉型の人ほどカロリーコントロールの必要はなく、トレーニングを行えば筋肉がつきやすくなっています。
中胚葉型の人は「より効率よく筋肥大を目指すアプローチ」がポイントになります。
外胚葉型(Ectomorphy)
タンパク質合成力が弱く、基礎代謝も非常に高いため他の型に比べて筋肥大が難しいです。
筋肥大を効果的に行うために栄養素の摂取に注力する必要があります。
代謝面では、特性上仕方ない部分があるので、対策としては消費エネルギーを抑えることが必要です。
トレーニングの際はダラダラと長く行わず、短時間でスパッと終わらせることで余計なエネルギー消費を抑えます。
外胚葉型の人は「短時間で効果的なトレーニング」がポイントになります。
ダイエット
内胚葉型(Endomorphy)
基礎代謝と活動代謝が低い傾向にあるため、ダイエットの際には食事面に注意する必要があります。
食事管理を行い、摂取カロリーを低くすることが重要です。
前述していますが、消化吸収能力も高く、タンパク質合成も得意なので、
適切なトレーニングを行いつつ、食事管理を徹底すれば体脂肪を落としやすいと考えられます。
筋肥大と同様、内胚葉型の人は「食事管理」を意識する必要があります。
中胚葉型(Mesomorphy)
活動代謝が高い傾向にあり、トレーニングを行うと他の型と比べて比較的多くのエネルギーが消費されます。
食事面に注意する必要はありますが、定期的なトレーニングが重要になってきます。
活動代謝が高いので、トレーニングを行えば身体を絞りやすい傾向にありますが、
基礎代謝が低いため、トレーニングを怠ると脂肪がつきやすいと言えます。
中胚葉型の人は「トレーニング頻度」を意識する必要があります。
外胚葉型(Ectomorphy)
基礎代謝・活動代謝ともに高く、摂取したエネルギーを効率的に消費できるため、ダイエットには苦労しません。
普段通りに生活をしていても痩せていく傾向にあり、そもそも外胚葉型の人は太ることがないという人が多いかもしれません。
より効果的に体脂肪を落とすという観点で、
外胚葉型の人は「適切なトレーニング内容と頻度」を意識するとよいと思います。
基礎代謝に加えて、活動代謝も高めることで劇的に減量を行うことができます。
まとめ
今回はソマトタイプについて、まとめました。
体型性質を元に体質を3分類したもの。
先天的に決まっている。
どのタイプの特徴が強く出ているか、で判断する。
ソマトタイプによって、トレーニングやダイエットにおいて意識する点、注意すべき点が異なってきます。
ソマトタイプを把握しておくと、自分に最適なアプローチを行うことができますので、理解を深めつつ、より効果的なトレーニング、ダイエットをデザインしていきましょう!
参考文献
1)人体のソマトタイプと幾何学的特徴,堤 江美子,相原 多恵,飯岡 直美,1997
2)日本人高齢者の生業とソマトタイプ,芦澤 玖美,加藤 純代,熊倉 千代子,楠本 彩乃,河原 雅典,川田 順造,佐藤 陽彦,Anthropological Science (Japanese Series),Vol.114, 87–100,2006
3)https://www.bodybuilding.com/fun/becker3.htm
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