【筋トレ効果を最大化】”クレアチン”とは?効果とメカニズムを解説

筋トレ/スポーツ

筋トレ効果を最大限に高めるためにはサプリメントを上手く活用することがポイントになります。

では、どのようなサプリメントが有効なのでしょうか?

国際スポーツ栄養学会は筋トレに効果的なサプリメントに関するレビュー1)を報告しています。

中でもエビデンスレベルが高い(=安全で効果のあるエビデンスを示す)サプリメントを紹介します。

■筋肥大効果■
・EAA
・プロテイン
・HMB
・クレアチン
■筋トレパフォーマンス向上■
・水とスポーツドリンク
・βアラニン
・カフェイン
・炭水化物
・クレアチン
・重炭酸ナトリウム
・リン酸ナトリウム

このレビューでは、筋肥大への効果と筋トレのパフォーマンス向上への効果の2軸で報告されていますが、見てわかる通り、”クレアチン”は双方においてもっともエビデンスレベルが高いものとして位置づけられています。

今回は研究結果を紹介しながら、クレアチンの効果とそのメカニズム、摂取方法について考察します。

この記事で分かること
・クレアチンの効果とそのメカニズム
・クレアチンの使用方法や副作用、注意点

筋トレ効果を最大限に高める”クレアチン”の理解を深めて、最高の筋トレライフを送りましょう!

【筋トレ効果を最大化】”クレアチン”とは?効果とメカニズムを解説

クレアチンとは

クレアチンとは、体内(肝臓、腎臓、膵臓)で生成されるアミノ酸の一種であり、主にクレアチンリン酸として筋肉組織に存在します。

おおよそ、95%前後が筋肉組織、他にも脳や網膜などにも存在し、運動時のエネルギー産生に関与しているとされています。

クレアチンリン酸は、筋肉が収縮する際にエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)の再生に利用され、スポーツ界ではパフォーマンス向上が期待できるサプリメントとして広く認知されています。

具体的な数値例を示すと、体重70kgで約120g、1日に1~2gが排泄されるようです。

そして、排泄される分(1~2g)のクレアチン補充が必要となりますが、半分は食事から摂取し、残りが体内生成による補充とされています。2)

クレアチンの効果

クレアチンの効果は主に以下になります。

・筋力向上
・筋肥大効果
・高強度の運動能力向上
・回復力向上

このように筋トレの効果を高めてくれるのはトレーニングをする人にとって嬉しい効果ですね。

それでは、この効果を生み出すメカニズムをみていきます。

クレアチンが筋トレの効果を高めるメカニズム

私たちが運動するためのエネルギーは、すべてアデノシン三リン酸(ATP)から得ています。ATPは、アデノシンと3つの無機リン酸から構成されています。

そして、ATPから1つのリン酸が離れるときにエネルギーが生成されます。

もちろん、筋トレ時のエネルギーも筋肉にあるATPから得ています。

しかしながら、筋肉にはATPが僅かしか存在せず、1秒以上の筋収縮ですぐに枯渇してしまいます。

では、なぜ私たちは長時間筋肉を動かすことができるのでしょうか?

それは、ATPを再合成する仕組みがあるからです。

それが「クレアチンリン酸系、解糖系、有酸素系」の3つの仕組みです。

ポイントは筋トレ時のATP再合成の仕組み

クレアチンリン酸系

クレアチンリン酸系は、筋肉に存在するクレアチンリン酸がクレアチンと無機リン酸に分解するときに発生するエネルギーによってATPを再合成します。

クレアチンリン酸系は供給するエネルギー量が最も大きく、高強度トレーニングで用いられます。

しかし、7〜8秒という短時間でエネルギーの供給を終えてしまいます。

解糖系

解糖系は、筋肉にあるグリコーゲンを分解することによってATPを再合成します。
グリコーゲンをピルビン酸に代謝する過程でATPが再合成され、同時に乳酸も生成されます。
こちらは、30秒ほどのエネルギーの供給時間と言われています。

有酸素系

有酸素系は、その名の通り、酸素を使ってATPを再合成します。
有酸素系は酸素を利用するため、体内の糖質や脂質がなくならなければ、無限にエネルギーを供給することができます。
つまり、長時間の運動時には有酸素系でエネルギーが供給されます。

筋トレはクレアチンリン酸系と解糖系

筋トレは主に「クレアチンリン酸系と解糖系」によりエネルギーを得ているとされています。3)

クレアチンをサプリメントとして補給することは、筋肉内のクレアチン量を増やすことになります。

そのため、クレアチンリン酸系によるATPの再合成能力を高め、トレーニングパフォーマンスの向上効果が得られると考えられています。

疑問さん
疑問さん

なるほど。エネルギー供給能力が向上することで、筋力向上効果や高強度の運動能力の向上効果が得られ、トレーニングパフォーマンスの改善に繋がるのですね。

ざっきー
ざっきー

ちなみにトレーニング前やトレーニング中に糖質を摂れと言われる理由は、解糖系によるエネルギー生成時にグリコーゲンが使われるからです。

クレアチンの効果例~関連研究の紹介~

ここで、クレアチンの効果について調査されたメタアナリシスを2つ紹介します。

※メタアナリシス:複数の研究結果を統合して導き出した、まとめの報告のこと

下肢のトレーニングへの効果

Lanhersらは下肢のトレーニングにおけるクレアチンの効果についてのメタアナリシスを報告しました。4)

63の研究を解析したところ、クレアチンの摂取により下肢筋力パフォーマンスの改善すること(特に大腿四頭筋の部位)が分かりました。

スクワット、レッグプレスのどちらにおいても効果が示されました。

 

※参考4)より

そして、クレアチンを摂取することで、スクワットの重量(強度)は約8%、レッグプレスの重量(強度)は約3%増加することが示唆されました。

また、トレーニング経験者と未経験者、初心者のいずれにおいても同様の結果が得られることが示され、男女でも同様の結果が示されました。

加えて、年齢にも関係なく、若年者から高齢者まで効果があることが示されています。

疑問さん
疑問さん

クレアチン、めちゃくちゃすごいじゃないですか。。上肢においても同じように効果が得られるのですか?

ざっきー
ざっきー

それでは、上肢に対するクレアチンの効果を報告している研究結果を紹介しましょう。

上肢のトレーニングへの効果

Lanhersらは上肢のトレーニングにおけるクレアチンの効果についてのメタアナリシスを報告しました。5)

53の研究を解析したところ、クレアチンの摂取により上肢筋力パフォーマンスの改善すること(特に大胸筋、小胸筋の部位)が分かりました。

腕の最大筋力や筋力トレーニングの回数増加を示し、ベンチプレスやチェストプレスのパフォーマンスを向上させることが示されました。特にベンチプレスでは、パフォーマンスが5.3%増加することが分かりました。

また、こちらの研究においてもクレアチン摂取の効果は、性別や年齢、トレーニング経験の有無によらず、得られることが分かっています。

これらより、クレアチンの摂取は下肢、上肢のトレーニング効果、パフォーマンスを高めることが分かります。

そして、このパフォーマンス向上の結果として、筋肥大の効果についても、増大させることができるのです。

では、クレアチンはどのように摂取するとよいでしょうか。また、副作用や使用時の注意点はあるのでしょうか。次の章で解説していきます。

クレアチンの摂取方法

国際スポーツ栄養学会の報告6)をベースに解説します。

結論、以下の要領でクレアチンを摂取していきます。

筋肉の総クレアチン量を160gでキープできるように、徐々に貯蔵していく

体内の総クレアチン量は160gまで増やすことができると推測されています。

そして、クレアチンを摂取する目的は、筋肉内のクレアチン総量を増やすことです。結果、ATPの再合成能力が高められ、トレーニングパフォーマンスを向上させます。

冒頭でも記載している通り、通常はおおよそ120g程度のクレアチンが存在しており、1日で1~3gが排泄されます。

私たちは日々排泄された分を食事や体内生成により補充をしていますが、基準値よりも多い数値でキープするためには通常よりも多く摂取する必要があります。

具体的にどうするかというと、以下の通りです。

1日に5gのクレアチンを摂取する

5gであれば、1日の消費量を確実に上回る量を摂取できます。そして、1日あたり5g摂取を継続することで、クレアチン総量を増やしていくのです。

1日あたり5g摂取する場合、1日の消費分3gを差し引いて、総量が2g増加していく形となります。つまり、約20日で総量を160gまで高め、以降はその総量を維持するイメージです。

ざっきー
ざっきー

クレアチンの摂取と同タイミングでタンパク質や炭水化物を摂取すると、総クレアチン量の貯蔵を促進できるということも報告されているようです。

クレアチンの安全性

安全性については、「全く問題ない」としています。6)

クレアチン摂取による副作用として、多く報告されているのが以下のような事象です。

・脱水
・胃腸への影響
・腎臓への影響
・筋肉痙攣 など

しかし、これらの現象はこれまでの多くの研究では否定的であると報告されています。

また、若年者~高齢者まで年齢によらず、副作用は示されていません。(注意:腎機能系障害の既往歴がある場合や基礎疾患を有する場合は、担当医の指示に従ってください!)

ただし、一度に大量摂取するなど、イレギュラーなケースは避ける必要があります。

クレアチンの分解産物であるクレアチニンの血中濃度が上昇し、結果的に尿量が増加して腎臓に負担をかける可能性も否めません。あくまでも通常範囲内の使用において、安全であるということを認識しておいてください。

しかし、1点だけ注意が必要な部分があります。

それは”体重増加”です。

クレアチン摂取により、体内の水分量が増加し、体重が増加することが示唆されています。なぜなら、クレアチンは筋肉に水分を溜める作用もあるからです。

体脂肪が増えるといった、一般的な肥満とは異なるので健康上何らかの問題が発生することはないので安心してください。

まとめ

この記事ではクレアチンの効果とメカニズム、摂取方法や副作用についてまとめました。

クレアチンのメカニズムを知り、摂取方法や摂取量を理解して活用することが効果的なトレーニングのパフォーマンス向上に繋がります。

<クレアチンの効果とそのメカニズム>
→筋トレ時のエネルギーはクレアチンリン酸系からATPを再合成する。クレアチンを補充することによってエネルギーの再合成を高め、トレーニングのパフォーマンス向上とそれによる筋肥大の効果が得られる
<クレアチンの使用方法や副作用、注意点>
→筋肉の総クレアチン量を増やすために、通常排泄量を上回る量を摂取する(1日5gを継続摂取)
→副作用はなく、安全である

このようなクレアチンの効果と安全性から、一般トレーニーからボディービルダーまで、トレーニングを行う多くの人に使用されているのです。

まだ取り入れていない方は是非検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献

1)Kerksick CM, Wilborn CD, Roberts MD, Smith-Ryan A, Kleiner SM, Jäger R, Collins R, Cooke M, Davis JN, Galvan E, Greenwood M, Lowery LM, Wildman R, Antonio J, Kreider RB. ISSN exercise & sports nutrition review update: research & recommendations. J Int Soc Sports Nutr. 2018 Aug 1;15(1):38. doi: 10.1186/s12970-018-0242-y. PMID: 30068354; PMCID: PMC6090881.

2)Kreider RB, Kalman DS, Antonio J, Ziegenfuss TN, Wildman R, Collins R, Candow DG, Kleiner SM, Almada AL, Lopez HL. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. J Int Soc Sports Nutr. 2017 Jun 13;14:18. doi: 10.1186/s12970-017-0173-z. PMID: 28615996; PMCID: PMC5469049.

3)Ratamess NA, Falvo MJ, Mangine GT, Hoffman JR, Faigenbaum AD, Kang J. The effect of rest interval length on metabolic responses to the bench press exercise. Eur J Appl Physiol. 2007 May;100(1):1-17. doi: 10.1007/s00421-007-0394-y. Epub 2007 Jan 20. PMID: 17237951.

4)Lanhers C, Pereira B, Naughton G, Trousselard M, Lesage FX, Dutheil F. Creatine Supplementation and Lower Limb Strength Performance: A Systematic Review and Meta-Analyses. Sports Med. 2015 Sep;45(9):1285-1294. doi: 10.1007/s40279-015-0337-4. PMID: 25946994.

5)Lanhers C, Pereira B, Naughton G, Trousselard M, Lesage FX, Dutheil F. Creatine Supplementation and Upper Limb Strength Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2017 Jan;47(1):163-173. doi: 10.1007/s40279-016-0571-4. PMID: 27328852.

6)Kreider RB, Kalman DS, Antonio J, Ziegenfuss TN, Wildman R, Collins R, Candow DG, Kleiner SM, Almada AL, Lopez HL. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine. J Int Soc Sports Nutr. 2017 Jun 13;14:18. doi: 10.1186/s12970-017-0173-z. PMID: 28615996; PMCID: PMC5469049.

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