「朝は苦手で中々起きれない..」
「ギリギリの時間まで寝て朝はバタバタ..」という方は多いのではないでしょうか。
私もその中の一人でした。
私は平日はエンジニアとして勤務しており、現在はリモートワークが増え、在宅勤務が中心となりましたが、昨年度までは片道1時間半以上かけてバリバリ通勤していました。
以前の私は朝に早起きして筋トレや自己研鑽を行うことが想像ができなかった程、朝が弱い人間でした。(ギリギリまで寝ていたいタイプでした…..)
そんな私が「朝の筋トレ」を習慣化できた理由を考察しつつ、朝活のメリットをお伝えできればと思います。
・筆者が「朝トレ」を習慣化できた理由
・習慣化のコツ
・朝トレのメリット
朝活を始めるにあたって3つのステップがあると考えています。
①朝活のメリットを認識
↓
②朝活を実践
↓
③朝活を習慣化
この記事を通して、まずは②まで進める方が増えると嬉しいです。
朝起きれなかった私が「朝の筋トレ」を習慣化できた理由
朝トレを始めるきっかけ
社会人一年目で”仕事が疲れすぎて、夜に筋トレをする気分になれなかった”というのがことの発端です。
筋トレ大好き人間ですが、疲労困憊状態で何もする気になれませんでした。
振り返ってみると、1日の疲労や業後の用事で夜の筋トレを断念することがしばしばありました。(残業の場合もあれば、急遽先輩や同期とご飯に行くことになる、など)
大好きな筋トレをする時間を確実に確保できないのが辛いと感じていたので、どうにかして筋トレの時間を確保しようとしたところ解決策は”朝”にあったという形です。
最初は「1回お試しでやってみるか」、「筋トレの時間を確保できればそれでいい」という感じで朝の筋トレをはじめました。些細なきっかけでしたが、この”お試し”によって朝活の素晴らしさを体感することになりました。
朝活の良さを身をもって感じたことで、なんとか朝活を習慣化させるために様々な工夫を生活に取り入れました。(実感した朝活のメリットや効果、習慣化させるための工夫などは後述しますね)
気がつけば、朝の早起きが定着していて、筋トレオフの日でも自己研鑽や読書に充てる時間を確保できるようになっていました。
朝トレで実感したこと
私が朝活を実践して感じたことを簡単に記載します。
集中してトレーニングができる
朝なら急遽用事ができることもなければ、人から連絡が来ることも少ないので集中してトレーニングができました。(夜は携帯の通知など気になることが多いですよね)
後ろに仕事が控えているので、ダラダラトレーニングをしなくなり、短時間超効率トレーニングになりました。有酸素運動を長めに設定する日もありますが基本的に1時間以内に全てが完結するようにしています。
時間を有効活用できる
計画的に朝に筋トレを設定することで、1日のタイムマネジメントができるようになりました。
筋トレをしない日でも同じ時間帯に起きて、自己研鑽や読書を行うようになりました。
1日の流れがいい、集中できる
朝の運動は身体を目覚めさせるのに非常に有効です。
いい気分で、仕事にも集中して取り組みことができます。
睡眠時間を確実に確保できる
夜にダラダラすることがなくなりました。
なんとなくこれぐらいに寝ればいいか、という時間帯はありましたが、寝る前にスマホを触ったり、YouTubeをみたり就寝時間が後ろ倒しになることが多くありました。
今は「朝○時に起きるということは△時には就寝する」と逆算して就寝時間を設定しています。自ら設定することで確実に一定の睡眠時間を確保することができます。(私の場合は7時間は睡眠時間をとります)
朝トレの効果を身に染みて感じたからこそ、習慣化しようと思ったというわけです。
おかげで、疲労感と筋トレ欲との葛藤に苦しむことがなくなりました。
後述しますが、朝活には数多くのメリットや効果があります。
習慣化のコツ
では、どのように習慣化すればよいのでしょうか。
実際、自分が行っていたことをリストアップしてみました。
就寝時間/起床時間を設定する
特に起床時間は設定していた方がいいですね。そうすると、自然に設定した時間に起きることができる身体になってきます。
はじめは朝起きるのが大変だったので、確実に睡眠時間を確保するために就寝時間を設定していました。
併せて適正な睡眠時間を知ることが大切です。特に早起きし始めの頃は、睡眠負債が溜まっているはずです。何度かトライアンドエラーを繰り返して必要な睡眠時間を知りましょう。私の場合は7時間取れると眠気がなくスッキリ起床することができるとわかったので7時間を設定しています。
目覚めてから携帯を触らない
基本、アラームを止めたら携帯は触りません。
携帯をいじってしまうと時間の経過があっという間、かつ布団から出ることができないからです。
朝の貴重な時間を携帯に充てるのは勿体無いですよね。何より布団から出ないと、朝は始まりません。
就寝前の携帯をやめて、読書とストレッチに
就寝前のブルーライトは交感神経を優位にし、脳を刺激してしまいます。
睡眠の質を低下させてしまうので、できるだけブルーライトからは離れるようにしています。そのデジタルデトックスの時間を用いて読書とストレッチを行っています。早起きをするにあたり、一番効果的だと感じたのはこれかもしれません。
夜食を控える
睡眠中は胃腸も休む時間です。
食事直後に寝ると、消化器官は寝ている間も消化しなくてはならず、休むことができません。
また、夜に食べたものが朝になっても胃の中に残ってしまい、不快感も残ります。どうしても食事が夜遅くなる場合は、なるべく消化がよいものを選ぶことを心がけています。
朝に「楽しみ」を設定する
自分の場合は「筋トレ」を朝に行うことが楽しみでした。
仕事が終わったあとに楽しもう! と思っていたことを朝に持ってきたりと、朝に楽しみを詰め込むように心がけました。そうすると、自然とすっと目が覚めます。(笑)
朝が苦手な人の場合は、早起きするだけでも負担です。なので、できるだけ最初は朝思わず飛び起きたくなるような、楽しみなことを用意しておくことが効果的ではないでしょうか。
徐々に朝のルーティンを設定
毎日同じ時間に起きれるようになってきたら、ルーティンを作ってみることをおすすめします。
そして、ちょっとずつそのときのマイブームに合わせて変更したりするのもいいかもしれません。
自分の場合は、「歯磨き」→「水を一杯」→「ストレッチ」→「筋トレ」→「シャワー」→「プロテイン」→「身支度」…..という感じです。
初めはあれやこれやと思いついたことを行っていましたが、自然とこの形に落ち着きました。読書や自己研鑽を行う場合には臨機応変に筋トレ部分を変更しています。
夜のうちに練習環境を整えておく
基本的に自重トレーニングが中心なので、ヨガマットと筋トレ器具を定位置に配置しておきます。あと、トレーニングウェアも。すると、目覚め〜トレーニングまでの流れが円滑になります。準備が面倒..ということにはなりません。
朝活のメリット
ここまでは私自身が感じたことや習慣化にあたって意識したことを記載してきました。
ここからは朝活のメリットについてエビデンスに基づいてお伝えしたいと思います。
概日リズム(サーカディアンリズム)を知っておく
メリットの前に、朝はどのような時間かというのを掴むために「サーカディアンリズム」を説明します。
生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。
人も体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。
この約24時間周期のリズムのことをサーカディアンリズムといいます。生物時計、体内時計とも呼ばれ、脳内の視床下部の視交叉上核にその機構が存在しています。1)
実際に人のあらゆる機能には以下のような周期があります。2)
体温は早朝は低く、午後にかけて上昇し、就寝前には低下します。血圧は午後が高く、就寝時に低くなります。
こうしたリズムから、低血圧、低体温状態の早朝には病気や発作による死亡率が高くなります。
そして、このサーカディアンリズムに関与するホルモンとして重要なのは「メラトニン」というホルモンです。
メラトニンは主に脳の松果体で生合成され、体内に分泌されます。昼間はほとんど分泌されず、夜(特に深夜2時)に分泌が高まるといった概日リズムを示し、視交叉上核にある体内時計の位相や周期をよく反映するホルモンです。3)
もう一つの特徴として、光によって分泌が急性に抑制されます。メラトニンの抑制はブルーライトで最も高くなります。
サーカディアンリズムですが、コントロールするために最も有効なのが太陽光と言われています。
朝日が目の網膜を通じて脳にある視交叉上核を刺激します。その刺激は体温中枢や摂食中枢、自律神経に伝わり、身体活動が喚起されることによって、目を覚まし、身体活動を始めます。4)
太陽光によって、1日のはじめにサーカディアンリズムをリセットするということです。
そして同様に筋肉にも視交叉上核からの指令が伝わり、コントロールされています。近年では、もうひとつの時計である「末梢時計」が筋肉にもあることがわかってきました。
Wolffらの報告では、動物実験により、ある時間帯で筋活動を習慣的に行うことによってサーカディアンリズムの影響を超えて、筋肉の分子リズムを変化させる、としています。4)
これにより、筋肉にも末梢時計があることが示唆されました。
現在では、筋肉をはじめ、身体のあらゆる器官に時計となる細胞が存在しており、各器官の末梢時計が視交叉上核と相互に影響しあっていると考えられています。5)
朝の筋トレ(朝活)は、視交叉上核や筋肉の末梢時計を通じて、集中力や食欲などのサーカディアンリズムを調整することが期待できます。
著名人が朝活に筋トレを取り入れている理由もこの辺りにありそうです。
では実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
朝の脳活動ゴールデンタイム(記憶力、発想力、集中力)を筋トレで強化
朝は一日の中で最も脳が活性化している時間帯です。
脳は目覚めてから2、3時間が最もパフォーマンスが高いと言われています。(前述したサーカディアンリズムでは朝10:00頃までの間)
なので、文章作成のような頭を使う仕事を効率的に行なうには、朝が最適なのです。
理由は、睡眠中の脳の活動にあります。
脳はその日に起こったあらゆる出来事を整理し、睡眠中に長期記憶へと変換しています。朝というのは前日の記憶がリセットされ、新しい記憶や創造性を発揮するのに適している状態なのです。この脳の仕組みが朝はゴールデンタイムだと言われる理由です。
また、起床後すぐというのは大脳の扁桃体という部分が活性化し、運動能力や記憶力が上がりやすくなる時間でもあります。
この時間に勉強すれば、学習内容が定着しやすくなりますし、運動パフォーマンスも向上します。
そして、より効果的に朝のゴールデンタイムを活用するために効果的なのが「朝の運動、筋トレ」なのです。
運動によって、体温や心拍数を上昇させることで副交感神経優位の状態から交感神経優位の状態になります。
要は脳、身体を活動モードに変化させるというわけです。
私は「朝の筋トレ」から始まりましたが、今では、筋トレの後に集中して作業を行ったり、読書や自己研鑽の時間に充てています。「集中力」「生産性」という観点からすると、段違いに高いです。
生活リズムの規則化
太陽光によって網膜が刺激されると、中脳から脳幹にある縫線核という部分に伝わり、睡眠と覚醒を司る「セロトニン」の合成が始まります。
朝の活動パフォーマンスが高いのはこの「セロトニン」というホルモンにあります。
セロトニンは精神の安定や安心感や平常心、頭の回転をよくして直感力を上げるなど、脳を活発に働かせる鍵となる脳内物質です。6)(太陽光はサーカディアンリズムのリセットとともにセロトニン分泌においても非常に重要)
セロトニンは、朝に分泌が高まり、午後から夜にかけて分泌が低下し、睡眠時には分泌が停止します。
このセロトニンは生活リズムの調整に重要な役割を持っています。
それは「メラトニン」の合成材料であることです。
セロトニンは松果体という場所でメラトニンに合成されます。
前述した通り、メラトニンはサーカディアンリズムを形成する上で重要なホルモンです。早朝にセロトニンをしっかり分泌させることで、夜に眠りを誘うメラトニンが多く分泌され、よく眠ることができるので規則正しい生活を送ることができます。(セロトニン分泌量とメラトニン分泌量は依存しています)
現代人にとって、睡眠障害は大きな問題であり、40%以上の人が睡眠の問題を有しているとされています。7)
自粛傾向で外に出ない、太陽光を浴びていないことからセロトニンの合成量低下や夜中のブルーライトによるメラトニン分泌抑制などが原因と
なっていそうですね。
こうした問題を抱えないためにも毎朝、太陽光を浴びて、セロトニン合成を促し、体内のリズムをリセットするとともに、夜間のメラトニン合成を促すことが鍵となってきますね。
運動を行うことで、直感力や集中力を高める効果がありそうですね。
自律神経のリズムを整えやすい
朝は、睡眠時に優位になっていた副交感神経から、起床後の活動に向けて交感神経へとスイッチが入れ替わる時間帯です。朝に筋トレや運動を行うと、副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズになり、自律神経のリズムとバランスが整いやすくなります。
活動量の増加、脂肪燃焼率の増加
交感神経が優位に働くと、血流が促進され、体内のエネルギーを消費する基礎代謝も上昇します。
朝の運動はこうした交感神経への刺激によって基礎代謝を高める効果も期待できます。単純に1日の活動量が増加しますね。
加えて、心拍数を高めるような中〜高強度のトレーニングを行った場合、
アフターバーン効果によって運動後も脂肪を燃焼しやすい状態に保つことも期待できます。
アフターバーンでエネルギー源となるのは「脂肪」なので減量やダイエットにも効果があります。
また、その効果ですが約24時間〜48時間も持続すると言われており、早朝に身体をその状態にすることで日中の活動に増してエネルギーを消費することができます。
アフターバーン効果を時短、効率良く狙うなら…
食欲のコントロール
前述したように人にはサーカディアンリズムというものがあります。
サーカディアンリズムは「食欲」にも影響を与えます。
Stevenらは、非肥満者12人を対象に13日間にわたる実験を行い、実験期間中は薄暗い実験室で過ごし、食事や睡眠といった行動をすべてスケジュール通りに行い、概日リズムと食欲や食事摂取量などの関係を調べました。
その結果、食欲が最も低下するのは朝8時、最も増えるのは夜8時ということがわかりました。
また、甘いものや塩辛いもの、炭水化物を食べたくなるのもこのリズムと同期していることも示唆されています。10)
また、夜に摂取したエネルギーは、他の時間帯に比べて体に蓄積されやすくなっています。
なぜなら、食べた後に身体を動かすことが比較的少なく、エネルギー消費が少ないからです。さらに、体のブドウ糖を代謝する能力を示す「耐糖能」もこの時間帯に低下することがわかっています。
現代においては、人工的な照明が行き届いており、夜間も明るいままです。携帯等を通じてブルーライトを浴びる機会も非常に多く、このことは睡眠時間の減少と質の低下に繋がっています。
夜遅くまで起きていると、空腹を感じる時間が長くなり、高カロリーの食品を食べてしまいがちになります。質の悪い睡眠は、食欲に関連するホルモンの分泌を高め、肥満の原因にもなるため注意が必要です。摂取カロリーの増加と不十分な睡眠が重なると….結果は明確ですよね。
夜は早く就寝し、十分な質の良い睡眠をとる、そして早起きをする。
食欲が増す夜の時間の活動をできるだけ少なくし、余計な栄養素を摂取しないようにすることが可能です。
早朝から活動をするわけですから、夜はよく眠れ、1日の総活動量も増加し、魔のカロリー摂取時間を回避することも可能です。
身体が摂取したカロリーを消費しやすい時間帯、食欲の増減する時間帯を把握し、自分でサーカディアンリズムのコントロールを行うことで食欲までも管理できてしまうのです。
朝の筋トレは効果が薄い?
サーカディアンリズムでも夕方は体温が高く、筋力が高まる時間帯になるため、筋トレに最適な時間帯は「夕方」と考えられています。
では、朝の筋トレは効果が薄いのでしょうか。
結論は「朝でも夕方でも筋トレの効果に差異はない」です。
Sedliakらは朝と夕方といった時間別のトレーニングが、筋力の増強効果に与える影響について報告しています。11)
被験者を朝にトレーニングを行う群と夕方にトレーニングを行う群に分類し、10週間の経過を追いました。すると、朝と夕方の時間帯に関わらず、トレーニングによる筋力増強の効果が同等に得られた、としています。
また、Sedliakらによって筋肥大においても研究12)が行われています。
時間別トレーニングの前後で膝の伸展筋力と大腿四頭筋の筋肉量の計測が行われました。その結果、朝のトレーニング群と夕方のトレーニング群の両グループともに筋力が増強し、大腿四頭筋の筋肉量も増加しました。そして両グループとも同様の効果が得られたと報告しています。
骨格筋のシグナル伝達レベルでは、時間帯による差異が生じる場合があるものの、筋肥大や分泌されるホルモン、神経筋パフォーマンスのトレーニング時間帯による効果は同様であるとしています。13)
このように朝の筋トレを行うことで、サーカディアンリズムの影響を軽減させ、夕方のトレーニングと同等の筋力、筋肥大、運動パフォーマンスの効果が得られることがわかってきているのです。
継続的な朝のトレーニングが筋肉の末梢時間を変化させる可能性が示唆されているというわけですね。
つまり、時間帯による心配は無用ということです。
まとめ
朝活のメリットは本当に感じることができます。
まずは明日、20分でも早寝起きして、朝の活動を体験してみてはいかがでしょうか。
”お試し”によって朝活の素晴らしさを体感
→定着させるために以下のような様々な工夫を。
◆習慣化のコツ
・就寝時間/起床時間の設定
・目覚めてから携帯を触らない
・就寝前の携帯をやめて、読書とストレッチに
・夜食を控える
・朝に「楽しみ」を設定する
・徐々に朝のルーティンを設定
・夜のうちに練習環境を整える
◆朝トレのメリット
・朝の脳活動ゴールデンタイム(記憶力、発想力、集中力)を筋トレで強化
・生活リズムの規則化
・自律神経のリズムを整える
・活動量の増加、脂肪燃焼率の増加
・食欲のコントロール
騙されたと思って行動してみてください。
効果はきっと実感できるはずです。
参考文献
3)光とヒトのメラトニン抑制,樋口重和,時間生物学 vol.14.No.1,2008
6)医療法人社団 平成医会 HP コラム「セロトニンの増加が心身に及ぼす効果」
8)うつ・不安にかかわる脳内神経活動と運動による抗うつ・抗不安効果,北 一郎, 大塚 友実, 西島 壮,スポーツ心理学研究,2010 第37巻 第2号 113-1401項
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