磁気ネックレスの効果・効能を科学的エビデンスから考察する

スポーツ
疑問さん
疑問さん

磁石磁気治療用品ってよく聞きますが、本当に効果はあるのですか?特に磁気ネックレスはスポーツ選手や身体の凝りが気になる多くの方が使用されているイメージがあります。

ざっきー
理学療法士ざっきー

そうですね。一般的には「装着部位の凝り解消や血行改善などの効果」があると言われています。この”凝り”という表現は日本人固有の表現ということもあり、効果は利用者の感覚によって評価されていることが多い実情です。今回は科学的なエビデンス、データから磁石磁気治療器の効果・効能を考察したいと思います。

この記事でわかること
・磁石磁気治療器の効果・効能
・磁石磁気治療器の科学的エビデンスと実際

 

それでは早速、磁石磁気治療器による効果・効能について考察していきたいと思います。

磁気ネックレスの効果・効能を科学的エビデンスから考察する

磁石磁気治療器とは?

磁気治療には交流磁気治療器と磁石磁気治療器の2種類が存在します。

交流磁気治療器は、電気的に磁界を発生させその磁場を利用するものです。椅子型のシートクッションやベルトのような形状であるものが多いです。

対して、磁石磁気治療器は磁石による定常磁場を利用します。こちらは、気になる部位に貼り付けるものやシーツ、枕、ネックレスなど様々な形状で存在しています。

どちらも”磁場により患部の血行を改善し、凝りを解消する”という効能が謳われていますがまとめると以下のような違いがあります。1)

磁石磁気治療器交流磁気治療器
使用方法電源不要、対象部位に直接当てる電源必要、衣服等着用し使用
磁極の向き変わらない変わる
起電力磁力内を血液が流れるときに起こる血液の流れに関係なく起こる
効果範囲小範囲広範囲
磁力線範囲小範囲広範囲
熱の発生なしジュール熱の発生
使用箇所凝りや気になる部位(ピンポイント)凝りや気になる部位(広範囲)
ざっきー
理学療法士ざっきー

磁気ネックレスは磁石磁気治療器に該当します。

磁器ネックレス(磁石磁気治療器)の効果とメカニズム

磁器ネックレス(磁石磁気治療器)には”装着部位の凝り解消や血行改善などの効果”があると言われていますが、どのようなメカニズムなのでしょうか。

今現在、現代のスポーツ医学が導き出した答えは”明確なメカニズムは解明されていないが、磁気による血行改善効果がある”です。1)

作用機序の仮説は多く存在しているのですが、どの仮説も十分に証明されておらず、メカニズムの詳細も解明されていないのが実態です。

有力とされている仮説は以下のようなものが存在しています。1)2)

・電磁誘導により血管壁で微小な電圧が発生し、それが神経等に作用し血管が拡張される
・磁界による影響で血液中の鉄成分が引き寄せられ、血行改善を促す
・血液に磁界が加わることで血液中のイオンが増加し、自律神経系の働きを改善する

など

現時点で言える事は、長期に渡って積み上げた多数の臨床データ、研究結果に基づき、磁気によるコリ・血行の改善効果が認められているということです。

では、実証的効果を示すデータを紹介していきたいと思いますが、その前に筋肉の”こり”という概念について簡単に説明しておきます。

筋肉の”こり”とは?

筋肉の”こり”とはどのようにして発生するのでしょうか。

関連している要因は様々ですが、以下のようなイメージでしょうか。

①筋肉を使い続けると疲労します
②疲労が積み重なると筋肉が徐々に緊張します
③緊張が積み重なると筋肉が硬化します
④硬化した筋肉は血管を圧迫し、血行を悪くします
⑤筋肉に栄養が行き届かない状態になります
⑥発痛物質の「乳酸」が発生して痛みを引き起こします

様々な筋肉がありますが、僧帽筋や肩周辺の筋肉の緊張によって起こる”こり”が「肩こり」として広く認知されています。

疑問さん
疑問さん

名の通り、凝り固まっていくような感じなのですね。

そしてこの”こり”という表現は日本独特の表現であり、”痛み”とも異なります。

自覚症状の評価時にはどうしても主観性が混在してしまうため、客観的な指標を持って評価することが難しいという問題があります。

ざっきー
理学療法士ざっきー

この概念の難しさから、磁気療法分野の発展スピードを鈍化させてしまったのではないでしょうか。概念の難しさを踏まえたうえで、近年の磁石磁気治療に関する研究を調べてみました。次の章では本題に戻って、実証効果を示すデータを紹介していきます。

磁石磁気治療器の効果とデータ

まずは、金井らの研究を紹介しましょう。3)

<概要>
金井らは肩こりに対する磁気治療器の効果を皮膚温度、深部温度、皮膚血流量などの数値から検証しました。
磁気治療器の効果は、二重盲検法により無作為に患者を磁気治療器貼付群とダミー貼付の対照群に分け、4日間の疼痛、筋硬結の症状、皮膚温度、深部温度、皮膚血流量を測定しました。皮膚温度については、肩凝りの強い患側とその反対側(健側)をサーモグラフィで測定しました。

<結果>
肩凝りを訴える患者は、肩の強く凝る部位の皮膚温が反対側より低い者(低温群)、高い者(高温群)、両側に差のみられない者(均一群)の3種類に分類され、罹病期間が短いほど高温群が多く、罹病期間が長くなると低温群が増加しました。

罹病期間1カ月以上の低温群に磁気治療器を貼付すると貼付24時間目から疼痛、筋硬結の症状が改善されはじめ、48時間後には皮膚温度、深部温度も有意の上昇を示し、血流量の有意な増加は72時間後にみられました。

つまり、磁気治療器は、患部が低温化した凝りの部位を明らかに改善し、皮膚温度、深部温度、血流量を上昇させるということが示されたのです。

(3)より引用、編集)

疑問さん
疑問さん

凝ってしまうと、血流の流れが悪くなることで、皮膚温も低下してしまうのでしょうか。

その他、磁石磁気治療に関するランダム化比較試験について調べると、1980年代~2000年頃までの間に一定数のランダム化比較試験が行われているようです。数は30件近くが該当しています。

 

ランダム化比較試験とは?
治療群(治療を行う群)と対照群(治療をせず観察のみの群)の無作為に2つのグループに分けて比較する方法。両者の性質が均等になることが見込まれるため、二つの群の性質の違いが結果に影響を及ぼす可能性が少なく、高いエビデンスレベルであるとされています。

ここですべての研究内容を紹介することはできませんが、研究の多くは一か月程度の装着による効果を測定しており、自覚症状や他覚症状の程度を段階的に評価していました。

そして、複数の研究で「磁気治療器には一定のコリ改善効果が認められる」と報告されており、再現性が高いと考えられます。4)5)6)7)8)9)10)11)12)13)

上記のようなランダム化比較試験の研究結果を抽出し、メタ分析を行った結果があります。14)

条件は以下です。
・肩こりを対象としている
・装着期間が2週間~1か月
・盲検化され効果量1が算出可能である

結果は「磁石磁気治療群において極めて顕著な改善効果」が見られました。

ただし、統合したデータにおいても合計サンプル数はそれほど多くないことは割り引く必要があり、また、いくつかの研究では被験者選定の施設が同じであるため肯定的な結果に傾きやすい被験者が選定されるなどの可能性が考えられる、とのことです。

独自技術の研究に力を入れている企業も存在している

例えば、ファイテン株式会社では独自技術”アクアチタン”に関する研究に力を入れています。

本題とはずれるので詳細は説明しませんが、自社製品の有効性を証明する根拠にもなっており、素晴らしい活動だと思います。

以下に研究がまとめられていますので興味がある方はぜひ。

アクアメタル研究会

効果は持続する?

磁気ネックレスの効果は、永久磁石といわれる磁石を使用していることから、半永久的に持続します。

しかし、ネックレスでは金属部分は簡単には磨耗しませんが、ストラップ部分の素材は使用に伴い痛んでいく可能性があります。
製品が痛んできたら買替時期になりますが、シリコンであればメンテナンスも楽にでき、衛生面も安心です。

また、磁気ネックレスの効果は着用を外した後も24時間程度効果が持続することも示唆されています。3)

副作用はある?

磁気ネックレスに副作用はあるのでしょうか。

まず、原則として、心臓ペースメーカ等植込型医用電子機器または、脳脊髄液短絡術式用可圧式シャントなどの 医用電気機器を使用している方は、誤作動を招く可能性があり使用することはできませんのでご認識ください。

医療用電気機器を使用していない方の利用を前提としています。

牛尾らによる、”こり”に対する磁場の治療効果について調べた研究があります。

その中で、磁場が血液や血圧などに与える影響について考察しており、以下のようにまとめています。

表面磁束密度900gaussの磁場は、常習性の”こり”に対して有効である。血圧、赤血球数、ヘモグロビン、 ヘマトクリットおよび血清電解質 (Na、K、Ca) に対する磁場の影響は生化学的には認められない。臨床的に問題となる副作用はなかった。

※1mT(ミリテスラ)=10Gauss(ガウス)
T(テスラ)はSI単位、Gauss(ガウス)はCGS単位です。

一般的に市販されている磁気ネックレスの磁場は”50mT(ミリテスラ)”のものが多いです。つまり、500Gauss程度ということです。500gaussを上回る900gaussの磁場でも、臨床的な副作用が認められていないということなので、多くの方は安心して使用できるのではないでしょうか。

※使用を推奨しているというものではありません。

効果は認められているが詳細なメカニズムは明らかにされていない

日本において、主要な磁石磁気治療研究は1980年代~1990年代に多く実施されており、それに比べて現在の研究状況はそれほど活発ではない状態にあるようです。故に現在でも磁気治療器に関する効果のメカニズムについては様々な説が考えられています。

十分な研究成果が出たためこれ以上のデータ収集の必要はないと判断されている可能性もありますが、実情の判断は難しいかと思われます。

また、日本の研究では有効性が示唆されているのに対し、海外の研究で有効性が認められなかったという報告もあります。

この理由には、測定対象の概念の違いが考えられています。

日本語でいう”肩こり”概念はやや特殊であるため、英語圏研究において肩こりを指すとされる「Low back pain」などとは異なる概念として捉えられている可能性があるということです。

要は”コリ”と”痛み”という概念の違いにより、正確に測定できていない可能性があるということです。

少なくともかつては、永久磁石療法の研究報告数は海外に比較して日本のほうが活発であったと推定できるため、”肩こり”という日本語概念が特殊な意味を形成しているのであれば文化的な意味での研究価値は高いといえるのではないでしょうか。

しかしながら、これまでの研究結果から判断する限り、「磁気治療器には一定のコリ改善効果が認められる」と考えられます。
また、十分な効果を得るためには一定の強さの磁力治療器を一定期間装着する必要があるということも考えられます。

磁気治療器の今後

現在、日本では、”家庭用永久磁石磁気治療器”という医療機器のカテゴライズがあり、そこでは「使用目的又は効果として、装着部位のこり及び血行の改善。一般家庭で使用すること」が明示されています。15)

しかし、研究面では1980年代~1990年代までと比較して現在の研究状況は活発とは言い難い状況にあり、今後実証データが蓄積されていく見込みはやや薄いと考えられます。

利用に際しては、研究データとして過去の研究蓄積があるため、軽度の肩こりや腰痛に対する対症療法的な利用であれば大きな問題は生じにくいと考えられます。

多くの研究データから「磁気治療器には一定のコリ改善効果が認められる」ことが示されており、体の”凝り”に悩むことがあれば試してみる価値はありそうです。そして、現在日本では皮膚貼付型や装着型など様々な磁石磁気治療機器が普及しており、手に取りやすい価格帯で販売されています。手軽に試すことができる、という部分もいい点のひとつですね。

疑問さん
疑問さん

一定効能が認められたため、現在の研究状況が落ち着いているのかもしれませんね。磁石磁気治療用品は広く社会的にも普及していますので、今後実証データとしては以前に比べ、集めやすい環境になっているのではないでしょうか。また、磁気治療分野の研究が活発になっていくと面白いですね。

まとめ

この記事では磁気治療器(磁気ネックレス)についての効果・効能、そのエビデンスについてまとめました。

・磁石磁気治療器の効果・効能
皮膚温度、深部温度、血流量を上昇させ、患部が低温化した凝りの改善効果がある
・磁石磁気治療器の科学的エビデンスと実際
現在の研究はそれほど活発ではなく、効果自体は認められているが詳細なメカニズムは明らかにされていない

磁気治療器がもたらす効果・効能についての詳細なメカニズムは明らかにされていない現状にありますが、その効果・効能については多数の研究データが有効性を示しています。また、健常者の使用において、副作用等も認められないので安心して使用することができます。

身体のメンテナンスのための、1要素として検討してみてはいかがでしょうか。

次回は直近使用していた磁気ネックレスについて、記事にしたいと思います。

参考文献

1)株式会社ホーコーエン 公式HP「交流磁気治療器と永久磁気治療器の違い」
2)保坂栄弘(1999):『磁石と生き物~からだを磁石で診断・治療する』コロナ社
3)日本ペインクリニック学会誌 3 (4), 393-399, 1996,金井ら:「肩凝りに対する磁気による治療効果の検討」
4)鈴木弘文(1983):「貼付型磁気治療器”ピップエレキバンド”の臨床的使用経験」『基礎と臨床』Vol.17,No.7,pp.2206-2216.
5)鎌野俊彦・青木虎吉(1984):「肩こりに対する磁気治療用具(GB-D)の臨床試験成績」『基礎と臨床』Vol.18,No.8,pp.4257-4266.
6)有地滋・小西啓悦(1984):「磁気治療用具(GB-D)の使用経験」『基礎と臨床』Vol.18,No.4,pp.1494-1510.
7)有地滋(1983):「ピップエレキバンキドの臨床的使用経験」『基礎と臨床』Vol.17,No.7,pp.2127-2226.
8)安井武義・堀田義弘(1985):「磁気治療器の肩こりに対する効果」『新薬と臨床』Vol.34,No.10,pp.1948-1953.
9)久留島潔(1987):「肩こりに対する磁気治療器の治療効果について」『基礎と臨床』Vol.21,No.13,pp.5408-5421.
10)長井啓介(1991):「磁気治療用具”マグシャワー”の治験成績」『基礎と臨床』Vol.25,No.8,pp.2563-2570.
11)萱場松年(1991):「マグネシャワーの臨床成績」『基礎と臨床』Vol.25,No.8,pp.2571-2577.
12)林秦夫(1993):「皮膚貼付用磁気治療器の臨床効果について」『基礎と臨床』Vol.27,No.6,pp.2329-2351.
13)大園研二(1993):「皮膚貼付式磁気治療器の臨床的使用経験」『基礎と臨床』Vol.27,No.6,pp.2353-2374.
14)Gizika.com,”磁石磁気治療”
15)「家庭用永久磁石磁気治療器~医療機器基準等情報提供」

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