【筋トレ】HMBが推奨されている理由と摂取方法〜エビデンスに基づいてわかりやすく解説〜

筋トレ

HMB。
最近、広告やトレーニー界隈で耳にすることが多くなりましたが皆さんはHMBについてご存知でしょうか。

ヒトに対するHMBの効果が初めて報告されたのは1996年に遡ります。
HMBによる動物実験の結果をもとに、Nissenらは世界で初めてヒトに対する臨床実験を行いました。
その研究により、HMBが筋タンパク質の分解を抑え、トレーニング効果を高める可能性があることを明らかにしました。1)

Nissenらの発見から20数年、現代のスポーツ医学は筋トレに対するHMBのエビデンスを積み重ねつつあります。

本記事では、HMBの実態、効果をエビデンスに基づいて紹介します。
この記事を読むことで少しでもHMBに関する知識を身につけていただければと思います。

HMBが筋トレの効果を高める理由

HMBとは?

人間の筋肉を構成するのはタンパク質で、そのタンパク質は分解されるとアミノ酸になります。このアミノ酸は人間の体内で合成されるアミノ酸と、体内では合成できない必須アミノ酸に分類されます。

この必須アミノ酸のうち、ロイシンというアミノ酸が筋肉や肝臓で代謝され、変換されたものがHMBです。また、体内に取り込まれたロイシンのうちHMBに変換されるのはおおよそ5%程度と報告されています。2)

HMB:ベータヒドロキシベータメチル酪酸(beta-hydroxy-beta-methylbutyrate)

HMBを理解するために、まずは生成元であるロイシンをおさらいしましょう。

ロイシンって?

前述しましたが、ロイシンは必須アミノ酸のうちのひとつです。体内で合成ができない必須アミノ酸は食事やサプリメントなどから摂取するしかありませんが、ロイシンは乳製品、豆類、魚介類などの食べ物によって得ることができます。通常の食事から必要量を摂取することができる為、普通の食事をしていれば不足することはないとされています。

疑問さん
疑問さん

ロイシンは身近な食べ物から摂取することができるんですね。

ロイシンは分岐鎖アミノ酸(BCAA)のひとつとして、筋肉を作る筋タンパク質合成の促進効果、中枢性疲労の軽減効果など重要な役割を担っています。

Bartらの報告によると、ロイシンの血中濃度と筋タンパク質合成速度には相関関係が認められています。3)

(文献3)より引用)

これは、ロイシンが筋タンパク質合成に関わるmTOR(mammalian Target Of Rapamycin)と呼ばれる分子の活性化を促進させる作用を持つためであると考えられています。

ざっきー
理学療法士ざっきー

さらにmTOR活性はタンパク質分解抑制としても働きます。ロイシンは筋合成において切っても切れない存在であるといえますね!

ロイシン

最適なHMBの摂取量・方法

国際スポーツ栄養学会のガイドラインでHMBの効果を高める摂取方法を述べています。

HMBが筋肥大の効果を示すための最適な1日の摂取量は、体重あたり38mg(38mg/kg)とされています。例えば体重60kgでは約2.3g(38mg×60kg)となります。

ざっきー
理学療法士ざっきー

このような計算から、一般的には3gが最適摂取量の目安とされています。

また、最適なHMBの摂取タイミングはトレーニング前(1〜2時間)とされています。これは摂取後2時間ほどでHMBの血中濃度がピークになる時間から算出されています。

では、HMBは摂取すればするほど効果が高まるのでしょうか。実は効果には限度が存在しています。

Gallagherらの報告によると、HMBの推奨量の2倍である6gを1ヶ月間、摂取した場合でもコレステロール、ヘモグロビン、白血球、血糖、肝臓または腎臓機能に影響はなかったとしています。4)

つまり、過剰摂取をしても効果はないということです。

・HMBの最適な摂取量は1日38mg/kg (一般的な目安は3g)
・HMBの最適な摂取タイミングはトレーニングの1〜2時間前

HMBの効果

HMBの効果について紹介します。

国際スポーツ栄養学会は、トレーニングに対するHMBの効果について4つのエビデンスを示しています。5)

順にみていきましょう。

筋肥大効果促進

筋肥大は、筋肉のもととなる筋タンパク質の合成作用が分解作用を上回ることにより生じます。


筋タンパク質の合成作用は適切な運動や栄養摂取を起点として、mTORという酵素により高まり、分解作用は主にユビキチンプロテアソームという酵素の集合体により高まります。

HMBにはmTORを活性化させ、ユビキチンプロテアソームを減弱させる効果があります。この効果もとに、HMBを摂取したときの筋タンパク質の合成・分解作用を計測した研究では、合成作用が増加し、分解作用が減少することにより、トレーニング後の筋肥大が有意に増大することが示唆されています。5)

ざっきー
理学療法士ざっきー

これがHMBによりトレーニング後の筋肥大の効果が増大すると言われる理由です。

筋損傷回復

トレーニングによる筋肉痛は誰でも経験したことがあると思います。

これは遅発性筋肉痛(DOMS)と呼ばれており、過度な機械的刺激が筋肉を損傷させ、筋タンパク質の分解を高めるとともに炎症および酵素の流出によって生じると言われています。

高負荷トレーニングに対するHMBの効果を検証した研究では、HMBの摂取によりトレーニング後の筋損傷マーカーであるクレアチニンキナーゼ(CR)や乳酸脱水素酵素(LDH)の値が有意に低下するとともに、筋タンパク質の分解作用が抑制されることが報告されています。5)

これが筋損傷の回復を高める理由です。

加齢による筋肉減少の予防

日本人の筋肉量は、男女ともに40歳を過ぎると減っていき、80歳までに最大10%も減少することが示されています。

これは加齢にともない、筋タンパク質の合成抵抗性が高まるためです。

そのため、高齢になっても筋肉量を維持したい場合は、より多くのタンパク質(アミノ酸)の摂取が必要になります。

特にアミノ酸の中でも、ロイシンが筋タンパク質の合成抵抗性に効果的であることが示されており、その代謝産物であるHMBにおいても同様の効果が報告されています。

Nicastroらのロイシンとサルコペニア予防に関するレビューでは、5つのサルコペニアとロイシンに関する研究を考察し、ロイシンの補給は高齢者の筋肉の萎縮を改善すると結論づけています。6)

脂肪量の減少

ボディービルダーやスポーツでは、筋肉量(除脂肪量)を維持して、脂肪量を落とすことが求められることが多いです。

しかしながら、カロリー制限をすることにより筋肉量も減少しやすくなります。

これに対して、HMBを摂取することにより、筋肉量を維持できるとともに、脂肪量が減少しやすくなることが示されています。

女子柔道選手を対象にした調査では、カロリー制限に加えてHMBを摂取した被験者は、体脂肪率が有意に低下したことが報告されています。

HMBが脂肪量の減少に寄与するメカニズムは明らかになっていませんが、このような背景からHMBは筋肉量を維持し、脂肪量を減少させる効果が示唆されているのです。

認識いただきたいポイントはHMBを飲むだけでは脂肪量を減少させる効果は得られないということです。

確かに、HMBを摂取すると筋肉量が増加しやすくなり基礎代謝の向上に繋がるため、痩せやすい体質になることは推測されています。しかしながら、基本的なHMBの働きは「筋肉の生成を促進する」ことです。

HMBの安全性

HMBの安全性ですが国際スポーツ栄養学会は「人体に全く問題ない成分」と結論づけています。

HMBは必須アミノ酸の一つであるロイシンの代謝物であり、生活の一部に組み込まれている成分です。決して有害な物質ではなく、また人体に悪影響を及ぼす可能性は低いと言われています。

Gallagherらの報告によると、HMBの推奨量の2倍である6gを1ヶ月間、摂取した場合でもコレステロール、ヘモグロビン、白血球、血糖、肝臓または腎臓機能に影響はなかったとしています。4)

過剰量を摂取した場合に影響がなかったことはHMBの無害性を示す研究とも捉えることができそうです。

HMBの種類

HMBには2種類あります。

それぞれ特徴や性質が異なっており、目的や状況によって摂取すべきタイプが変わってきます。

HMBカルシウム

一つ目は「HMBカルシウム」です。

カルシウムと結合したタイプのHMBで、製造しやすく安価であることから、現在のHMBサプリメントの主流となっています。市販されているほとんどのHMBはこのHMBカルシウムタイプになります。(多くの研究で用いられているのもこのタイプです。)

特徴は「吸収が比較的ゆっくりなこと」です。具体的には、摂取後身体に吸収されるまでに2時間程度の時間が必要になります。

吸収スピードが緩やかなため、就寝前の摂取に向いています。

HMB遊離酸

二つ目は「HMB遊離酸」です。

特徴は「吸収スピードが速いこと」、「血中濃度のピークが高いこと」です。1〜2時間かかるHMBカルシウムと異なり、30分程度で吸収されます。

血中濃度に関してもHMBカルシウムと大きな違いがあります。同じ摂取量であってもHMB遊離酸はHMBカルシウムに対して約2倍の血中濃度レベルが認めれています。5)

そのため、HMB遊離酸は筋肥大や筋損傷の回復効果が大きいと言われており、いち早く体内に栄養素を吸収する必要があるトレーニング後の摂取に適しています。

しかし、HMB遊離酸は製品数が少なく高価というデメリットもあります。

HMBの違いで効果に差はあるのか?

前提として、HMB遊離酸はHMBカルシウムと同様に筋タンパク質の合成作用を増大し、分解作用を軽減する効果が認められています。5)

これはトレーニングによる筋肥大の効果を高めることを示すとともに、筋損傷の回復を速める効果につながります。

Wilsonらはトレーニング経験のある被験者を対象に、8週間のレジスタンストレーニングを行わせ、その前後2週間を含めた12週間のHMB遊離酸の摂取による筋肥大への効果を調査しました。7)

結果、HMB遊離酸を摂取していない被験者に比べて、12週間後の筋肉量が有意に増大したことが認められました。さらに脂肪量は有意な減少が示されました。

LoweryによるHMB遊離酸の筋肥大への影響を調査した研究でも同様の結果が報告されています。8)

加えて、トレーニングによる筋損傷に対する効果も報告されています。

Gonzalezらの研究によると、HMB遊離酸を摂取していない被験者に比べて、有意に損傷マーカーであるクレアチニンキナーゼ(CK)が減少しており、トレーニング後48時間の筋タンパク質の分解作用が減弱することを報告しています。9)

HMBカルシウムと同様、HMB遊離酸はトレーニングによる筋損傷の軽減および回復させることが示されているのです。

つまり、HMBカルシウム、HMB遊離酸は同様の効果を持ち、トレーニングによる筋肥大、筋損傷回復効果を十分に高めると言えそうです。

HMBの選び方

飲みやすさ

「飲みやすさ」は重視すべきポイントです。

HMBは、一度に多量摂取しても吸収しきれずに効果が十分に得られません。場合によっては、1日に数回に分けて摂取することも必要になります。

その中で、飲みづらいサプリを選んでしまうと継続できなくなってしまいます。

HMBの効果を高めるためには、毎日継続して飲み続けることが重要になりますので、飲みやすさを重視して選ぶようにしましょう。

ざっきー
ざっきー

HMBサプリには、タブレットタイプやパウダータイプがありますが、飲みやすさという観点からは、タブレットタイプがおすすめですね。持ち運びも楽です。

HMBのタイプ

前述しましたが、HMBにはHMBカルシウムとHMB遊離酸の2種類があります。どちらのタイプなのかを目的に合わせて選択する必要があります。

HMBカルシウム:吸収が比較的ゆっくりで1〜2時間かかる。製品として多く普及しており、HMB遊離酸よりも価格帯が低く入手しやすい。就寝前の摂取など、即効性を求めない場合、コストを重視する場合にオススメ。

HMB遊離酸:吸収が速く、30分程度で吸収される。トレーニング中に摂取し、即効性を重視する場合にオススメ。

含有成分

含有成分も意識するようにしましょう。サポート成分も豊富な製品だと相乗効果が得られるのでオススメです。

HMB以外にも、関連栄養素である「BCAA」「クレアチン」などが含まれている場合があります。

サポート成分が豊富だと、他のサプリを購入する必要がなくなり、経済的なメリットも享受することができます。

価格帯

サプリメントは習慣的に摂取しても、経済的に大きな負担とならないような価格帯のものを選びようにしましょう。継続できなければ効果が薄くなってしまいますので。

中でも、HMB遊離酸は比較的価格帯が高めなので注意が必要です。

長く摂取し続けていくことを前提に、飲みやすさ・含有成分・価格を総合的に考慮して、自分に適したHMBサプリメントを選ぶようにしましょう。

疑問さん
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まとめ

◆HMBとは
・ロイシンというアミノ酸を代謝する際に生成される物質(ロイシンから5%の割合で生成)
・HMBにはHMBカルシウムとHMB遊離酸の2種類が存在
◆HMBの効果
筋肥大効果促進
筋分解抑制
筋損傷回復
◆摂取量・方法
1日38mg/kg (一般的な目安は3g)

ただし、重要なのはトレーニング効果をより高めるためにHMBをうまく活用することです。HMBを飲んでいれば効果を享受できるというものではありません。基盤に適切なトレーニングがあることを前提としています。

HMBを上手に摂取して、理想的な身体作りに役立てていきましょう!

記事に関する質問、要望がありましたら、問い合わせフォームにてお気軽にどうぞ。その他、トレーニングやヘルスケア全般に関する疑問や質問にも可能な範囲でお答えし、記事にしていきたいと思います。

参考文献

1)Nissen S, et al. Effect of leucine metabolite beta-hydroxy-beta-methylbutyrate on muscle metabolism during resistance-exercise training. J Appl Physiol (1985). 1996 Nov;81(5):2095-104.

2)Van Koevering M, Nissen S. Oxidation of leucine and alpha-ketoisocaproate to beta-hydroxy-beta-methylbutyrate in vivo. Am J Physiol. 1992 Jan;262(1 Pt 1):E27-31. doi: 10.1152/ajpendo.1992.262.1.E27. PMID: 1733247.

3)Pennings B, Boirie Y, Senden JM, Gijsen AP, Kuipers H, van Loon LJ. Whey protein stimulates postprandial muscle protein accretion more effectively than do casein and casein hydrolysate in older men. Am J Clin Nutr. 2011 May;93(5):997-1005. doi: 10.3945/ajcn.110.008102. Epub 2011 Mar 2. PMID: 21367943.

4)Gallagher PM, Carrithers JA, Godard MP, Schulze KE, Trappe SW. Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate ingestion, Part I: effects on strength and fat free mass. Med Sci Sports Exerc. 2000 Dec;32(12):2109-15. doi: 10.1097/00005768-200012000-00022. PMID: 11128859.

5)Wilson JM, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB). J Int Soc Sports Nutr. 2013 Feb 2;10(1):6.

6)Nicastro H, Artioli GG, Costa Ados S, Solis MY, da Luz CR, Blachier F, Lancha AH Jr. An overview of the therapeutic effects of leucine supplementation on skeletal muscle under atrophic conditions. Amino Acids. 2011 Feb;40(2):287-300. doi: 10.1007/s00726-010-0636-x. Epub 2010 Jun 1. PMID: 20514547.

7)Wilson JM, Lowery RP, Joy JM, Andersen JC, Wilson SM, Stout JR, Duncan N, Fuller JC, Baier SM, Naimo MA, Rathmacher J. The effects of 12 weeks of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate free acid supplementation on muscle mass, strength, and power in resistance-trained individuals: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. Eur J Appl Physiol. 2014 Jun;114(6):1217-27. doi: 10.1007/s00421-014-2854-5. Epub 2014 Mar 6. PMID: 24599749; PMCID: PMC4019830.

8)Lowery RP, Joy JM, Rathmacher JA, Baier SM, Fuller JC Jr, Shelley MC 2nd, Jäger R, Purpura M, Wilson SM, Wilson JM. Interaction of Beta-Hydroxy-Beta-Methylbutyrate Free Acid and Adenosine Triphosphate on Muscle Mass, Strength, and Power in Resistance Trained Individuals. J Strength Cond Res. 2016 Jul;30(7):1843-54. doi: 10.1519/JSC.0000000000000482. PMID: 24714541.

9)Gonzalez AM, Stout JR, Jajtner AR, Townsend JR, Wells AJ, Beyer KS, Boone CH, Pruna GJ, Mangine GT, Scanlon TM, Bohner JD, Oliveira LP, Fragala MS, Hoffman JR. Effects of β-hydroxy-β-methylbutyrate free acid and cold water immersion on post-exercise markers of muscle damage. Amino Acids. 2014 Jun;46(6):1501-11. doi: 10.1007/s00726-014-1722-2. Epub 2014 Mar 18. PMID: 24639242.

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