女性が男性を評価する魅力度は、何で決定されるのでしょうか。
答えは「程よい筋肉量」です。
男性の身体の筋肉量と女性が男性を評価する魅力度は「逆U字型」の関係にあることが示唆されています。1)2)
そして、ある程度筋肉量が多いほど魅力度が高くなることが報告されています。1)2)
「逆U字型」ですので、筋肉量が多すぎると効果は半減してしまいます。
世間的に、ガッチガチのマッチョよりも細マッチョが好まれるようなイメージでしょうか。
「筋トレをするとモテる」「モテたければ筋トレをしておけ」
と言われるのは、迷信ではなくこのような科学的なエビデンスに基づく事実です。
ですが、モテたいからといって、ただ漠然と筋トレをすればいいというわけではありません。
その理由は、モテる身体には条件が存在しているからです。
せっかく筋トレするなら女性が魅力的に感じるポイントも押さえておきたいですよね。
今回は科学的エビデンスに基づく、モテる身体の条件を紹介します。
この記事を読んで”モテる身体”を目指していきましょう!
女性にモテる身体の条件とは?筋トレで鍛えるべき部位は?科学的エビデンスに基づいて徹底解説!
魅力的な身体の条件は”WCRが0.7″
女性は男性のどの部位をみて、魅力的に感じているのでしょうか。
それはズバリ、”上半身”です。

この問いに対する答えは、数多くの研究報告、エビデンスで報告されています。

では、どのような上半身がよいのですか?
どのような状態の上半身に魅力を感じるのかというと、”WCRが0.7“の上半身だと報告されています。3)
WCR(WCR:Waist-to-Chest Ratio)とは、ウエストと胸囲の比率です。
比率ですので、ウエスト(Waist)÷胸囲(Chest)で表されます。
ウエストと胸囲が同じサイズだとWCRは1.0になり、寸胴な体型になります。
WCRがと小さくなるほど胸囲が大きく、ウエストが細い「V字型」の体型であることを示します。(いわゆる逆三角形の身体ですね。)
そして、女性が魅力的に感じるWCRを調べたのがGarzaらの研究になります。4)5)
研究の対象は大学生の女性92名(平均年齢20.7歳)であり、男性の全身写真が見せられました。
写真はWCRが0.7、0.8、0.9と異なる3つの体型となっています。女性は、この3つの体型について、それぞれ魅力度を評価しました。以下の図になります。(5)より引用)
その結果、魅力的と評価されたのがWCRが0.7の体型でした。ついで0.8、0.9の順となりました。
この研究結果より、WCRが小さい(つまり、胸囲が大きくウエストが小さい、逆三角形の体型)ほど女性が魅力的に感じることが示唆されたのです。

2021年には大学生の女性130名(平均年齢19.4歳)に対して、同様の研究を行っていますがやはりWCR0.7の体型が一番魅力的であると評価されました。
上半身が魅力度の指標となることが分かりました。では、魅力度を測る際にどのように視覚的に捉えられるのでしょうか。視覚パターンには傾向があるようです。
女性が魅力度を測るときの視覚パターン
女性がどのように魅力度を測っているのかを評価する方法としてアイトラッキング法があります。アイトラッキングとは、ヒトの眼球運動を分析して、視覚的注意などを明らかにする生体計測手法です。
つまり、「最初にどの部位に視点を合わせるのか」「どの部位が一番長く視点を当てられているか」といった情報から視覚パターンを分析します。
Garzaらはこうした視覚パターンについても調べました。4)
内容は男性の身体部位(Head:顔、:Chest胸部、Midriff:腹部、Groin:鼠径部、Thighs:大腿部、Legs/Feet:下腿部)に対して最初に視点を当てた部位別の時間、注視された部位別の時間を計測しました。
結果は次のようになりました。(4)より引用)
最初に視点を当てた部位別の時間をみると、グラフを見ての通り、「腹部」、「胸部」は「顔」に次いで視点を当てられる部分であることがわかります。
一方、一番注視された時間が長かったのは「腹部」でした。(次いで「顔」「胸部」)
これらの結果より、男性を評価するときには、まず「顔」を評価し、次いで「腹部」を評価していることがわかります。また、「顔」よりも「腹部」を注視する時間が長いことが示されていますので、女性は男性の腹部を重点的に評価している傾向が考えられます。

女性は男性の身体を見たときに「顔」→「腹部」→「胸部」の順で評価を行うことが示唆されました。「腹部」や「胸部」を重点的に評価することで”WCR0.7”に近い上半身なのかを判定しているのではないでしょうか。
なぜ”WCRが0.7″の体型が魅力的であると感じるのか
”WCRが0.7”の体型が魅力的であると感じる理由は、一言で表すと次のように考えられています。
”優れた免疫機能を有し、健康水準が高いから”
とある文献の言葉を引用させてもらいます。6)
男性特有の身体的特徴を有する個体はその環境に耐えうる優れた免疫機能を有し、健康度も高くより環境に適応していることから生殖成功率も高いといえる。そして、そのような個体と配偶することで配偶相手の女性も自身の生殖成功率を上げることができることから、女性は男性特有の身体的特徴を強く有している男性に魅力を感じると考えられる。
女性としてはより健康的な男性であるほどパートナーとして優れていると判断します。
そして、その判断基準が顔や体型といった外見ということです。
魅力的な顔とは、左右対称性や目や鼻、各パーツの大きさ、肌などをポイントとし、このような顔から健康度を感じ取るとされています。

確かに肌が綺麗な人は健康を連想させますね。
顔が整っていて、肌が綺麗であることは健康的であることを示すシグナルのようなものになっているのではないでしょうか。これが第一に顔が評価される理由です。
そして、顔と同様に体型(筋肉量や脂肪量など)も健康的であることを示す要素になります。
実際に筋肉量が多いことは、腎臓病や心臓病、がんや集中治療室に入院するほどの重症者の死亡率を減少させることが報告されています。7)
また、脂肪量(特に内臓脂肪)が高いと、様々な疾患に繋がることは容易に想像できるでしょう。
代表例だと、腹部への内臓脂肪増加により「脂肪肝」を発症させる要因になります。
脂肪肝は脂質異常症を生じさせるので狭心症や心筋梗塞など心疾患の合併率が高く、健康を損なうリスクが非常に高いです。さらに内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインは糖尿病や高血圧、動脈硬化を誘発する要因にもなります。
つまり、ウエストが大きいこと(お腹周りがぽっこりさん)は、内臓脂肪の蓄積による生活習慣病のリスクが高い不健康さを示す指標になるのです。
このように筋肉量が少なく、脂肪量(特に内臓脂肪)が多いことは不健康を示す指標になります。これに対して、筋肉量が多く、脂肪量が少ないことは、健康度が高い指標になるのです。その根拠が先ほど紹介した、次の内容です。実際に筋肉量が多いことは、腎臓病や心臓病、がんや集中治療室に入院するほどの重症者の死亡率を減少させることが報告されています。7)
筋肉量が多く、脂肪量が少ない”WCRが0.7”の男性は、優れた免疫機能を有し、健康水準が高いことを女性は無意識に感じ取り、「魅力的」と判断するのです。
まとめ
女性にモテる身体の条件は”WCRが0.7″の身体(=肩や胸部の筋肉量が多く、引き締まった腹部)であることが分かりました。
モテるボディを獲得するためには、ただ漫然と筋トレをすれば良いというわけではありません。
筋肉量を増やす筋肥大と、脂肪量を減らす除脂肪の双方を高めるようなトレーニングや食事管理を実践する必要があります。そして、そうした内容を適切に実践するためには、正しい知識が必要になります。
そうした、トレーニング手法や考え方、必要となる前提知識についてはどんどん記事にしていきたいと思いますので是非チェックしてみてください。
参考文献
1)Frederick DA, Haselton MG. Why is muscularity sexy? Tests of the fitness indicator hypothesis. Pers Soc Psychol Bull. 2007 Aug;33(8):1167-83. doi: 10.1177/0146167207303022. Epub 2007 Jun 19. PMID: 17578932.
2)Frederick, David & Buchanan, Gregory & Sadeghi-Azar, Leila & Peplau, Letitia & Haselton, Martie & Berezovskaya, Anna & Lipinski, Ryan. (2007). Desiring the muscular ideal: Men’s body satisfaction in the United States, Ukraine, and Ghana. Psychology of Men & Masculinity. 8. 103-117. 10.1037/1524-9220.8.2.103.
3)Crossley KL, et al. What is an attractive body? Using an interactive 3D program to create the ideal body for you and your partner. PLoS One. 2012;7(11):e50601.
4)Garza R, et al. Fertility Status in Visual Processing of Men’s Attractiveness. Evolutionary Psychological Science. 2019 Feb;5:328–342
5)Garza R, Byrd-Craven J. Effects of Women’s Short-Term Mating Orientation and Self-Perceived Attractiveness in Rating and Viewing Men’s Waist to Chest Ratios. Arch Sex Behav. 2021 Feb;50(2):543-551. doi: 10.1007/s10508-020-01846-0. Epub 2020 Oct 14. PMID: 33057831.
6)Waist-to-chest ratio(WCR)と Somatotype の違いが女性からみた男性の外見的魅力に与える影響について,法政大学大学院紀要 / 大学院紀要編集委員会 編 (74):2015 p.55-63
7)Sedlmeier AM, Baumeister SE, Weber A, Fischer B, Thorand B, Ittermann T, Dörr M, Felix SB, Völzke H, Peters A, Leitzmann MF. Relation of body fat mass and fat-free mass to total mortality: results from 7 prospective cohort studies. Am J Clin Nutr. 2021 Mar 11;113(3):639-646. doi: 10.1093/ajcn/nqaa339. PMID: 33437985.
Jaime C, et al. More than just a pretty face: men’s priority shifts toward bodily attractiveness in short-term versus long-term mating contexts. Evolution and Human Behavior. 31 (2010) 348–353
Dixson BJ, et al. Eye-tracking women’s preferences for men’s somatotypes. Evolution and Human Behavior. 2014(35): 73-79

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